2017 Fiscal Year Annual Research Report
中学校数学における小中高接続を意図した深い学びを促す数学的活動の開発
Project/Area Number |
17H00149
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Research Institution | 佐久長聖中学・高等学校 |
Principal Investigator |
荻原 文弘 佐久長聖中学・高等学校, 教員
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Project Period (FY) |
2017
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Keywords | 中学校数学 / 数学的活動 / 小中高接続 |
Outline of Annual Research Achievements |
目的は, 中学校数学における主体的・対話的で深い学びの実現の具体としての, 授業実践例を提案することである。そのために, 生徒が学んだ事柄に関する新たな意味形成と, これからの学びに向けての数学的な洞察を繰り返し促す数学的活動の枠組みを用いて, 小中高接続を意図した深い学びを促す数学的活動を開発した。また, 開発した数学的活動をもとに複数の単元を実践し, 収集したデータを質的に分析することによりその学習効果を特定した。 例えば、単元「比例」において, 2つの整数の乗法を, 写像の合成を数学的な背景にもつ操作活動で考え, その行為を言葉で表現して対象化することから, 正負の数の乗法の意味を解釈する数学的活動を行った。この学習過程にみられる生徒の特徴的な活動や記述物を質的に分析した結果, 次の3点を明らかにした : (1)関数の見方や考え方を意識した操作活動とその行為の対象化が, 正負の数の乗法の意味解釈を深めることに繋がる。(2)関数の見方や考え方を用いた表現で倍の意味を解釈する活動は, 変化の割合や複素数の素地指導に繋がる。(3)関数の見方や考え方を用いた操作活動で2つの整数の乗法の意味を解釈する数学的活動により, 数の拡張を実感する可能性が高まる。 また, 図形の連続的変化とそれに伴う等式の変化を対比しながら追究する数学的活動では, 次の3点を明らかにした : (1)等式の変化を調べるために図形の連続的変化を調べようとする過程の中で, ひとつの等式における各辺の長さの変化を意識化することが可能となる。(2)図形の連続的変化と対比させながら, 辺の長さの変化を意識して等式を読む中で, 等式の変化の仕方に対する理解が深まる。(3)辺の長さの変化を意識して図形の連続的変化を調べようとする過程で, 長さの変化をグラフで調べようとする活動が生まれる可能性がある。 なお, 上述の2例は開発した数学的活動の一部である。
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