Outline of Annual Research Achievements |
教師がアーギュメント構成能力の育成に自信をもって取り組むには, 自らアーギュメントの指導法を具体的に立案したり実践したりする活動が必要である(McNeillら, 2016)。山本・神山(2017)の研究によって, アーギュメントを構成, 評価する教師の能力向上が報告されているが, そのプログラムは主に講義とワークショップで構成されており, 授業実践を伴う教師教育方略は未開発であった。 そこで, 本研究では, アーギュメントを小学校理科授業に導入するための授業実践を伴う教師教育方略を開発した。対象は, アーギュメントを指導した経験のない現職小学校教員Mの1名であった。プログラムの概要は, 以下の通りであった。 授業準備段階では, 4つの活動を設定した。まず, アーギュメントに関する研修会(90分)を行い, ①理科教育におけるアーギュメントの定義や意義が理解できるような講義とワークショップ(90分)を行った。次に, 単元の検討会(90分)において, ②指導するアーギュメント構造を決定した。構造は, 主張・証拠・理由付けからなる単純なバリエーションとした。その際は, ③アーギュメント各構成要素の内容を決定した。具体的には, 「主張」に対する適切な学習問題, 「証拠」で児童が収集するデータの量や質, 「理由付け」として位置付く科学的原理をそれぞれ学習内容と具体的に照らし合わせて検討することであった。単元の検討会では, さらに, ④アーギュメントを単元や1時間の授業の中に導入するタイミングの吟味を行った。 授業実施段階では, 授業(45分)についてリフレクション(120分)を行った。その際は, 3つの活動を設定した。活動は, ⑤授業の動画記録を視聴してアーギュメントの指導場面を特定し, ⑥考察場面でなされた児童の発言をアーギュメントの構成要素に分類することであった。さらに, リフレクションでは, ⑦授業記録を基に, 板書やワークシートでの支援方法の吟味を行った。
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