2017 Fiscal Year Annual Research Report
協同作業の認識の向上を通した化学の授業づくりの研究
Project/Area Number |
17H00195
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Research Institution | 大阪府立豊中高等学校 |
Principal Investigator |
福野 勝久 大阪府立豊中高等学校, 教諭
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Project Period (FY) |
2017
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Keywords | 学びあい / 化学教育 / グループ活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究での成果は大きく分けて二つある。 一つ目はグループ活動を中心とした授業と評価の開発である。グループ活動を意図的に授業に組み込み, 活動を端的に記録できるような仕組みをいくつか実施することができた。例えば, 付箋を用いてグループでのブレインストーミングとクラスタリングを行わせて記録を残すことによって, アイデアの量と質をグループに対するメンバーの寄与率として数値化させることができた。その他にも議論を表やフローチャートなどの形に可視化し, 力の少ない生徒であっても活発に議論に参加できるようにワークシートを工夫した。また, 化学の授業として実験のみならず, まとめシートづくり, 模型作成実習と教え合い, 教室内でICT機器を用いたディスカッションなどのグループ活動などを実施した。これらの活動では個人の振り返りという形で自己評価を促し, それを分析して生徒に対してフィードバックを行った。 二つ目は協同に対する意識の変容とペーパーテストで測定可能な学力との比較である。協同作業に対する認識の調査には長濱, 安永らの開発した協同作業認識尺度を, 学力としては定期考査の偏差値を用いた。協同作業に対して, 協同効用因子, 個人志向因子, 互恵懸念因子の三つの因子それぞれについて変化量の平均をとると, いずれについても偏差値の変化量とは強い相関は見られなかった。しかし, 一部の設問ごとにみると, 「化学の学習について, 能力が高くない人たちでも団結すればよい結果を出せる」という認識が強まった生徒集団の偏差値の変化量の平均は+3ポイントであり, 「化学の学習について, みんなで一緒に作業すると, 自分の思うようにできない」という認識が強まった生徒集団の偏差値の変化量の平均は-2ポイントであった。
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