2017 Fiscal Year Annual Research Report
ケルビンプローブ顕微鏡を用いたナノカーボン材料の局所的な電気特性評価の検討
Project/Area Number |
17H00406
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
平野 恵 熊本大学, 工学部技術部, 技術職員
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Project Period (FY) |
2017
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Keywords | プローブ顕微鏡 / 酸化グラフェン / 表面電位 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、薄膜の表面構造の解析方法として、ナノレベルで評価が可能な原子間力顕微鏡(AFM)が広く使われている。また、AFM関連技術としてケルビンプローブフォース顕微鏡(KFM)がある。導電性プローブを用い、探針とサンプル表面の仕事関数の差を測定することで物質の表面電位像を得ることができる。よって、AFM/KFMは、無機、有機材料開発における特性評価方法の一つとして利用されている。しかし、KFM測定では探針の汚染や酸化状態など、探針先端の状態に測定結果が左右される為、相対的な表面電位の比較に留まり、絶対的な表面電位での議論がほとんど行われていないという問題点がある。これまで、酸化グラフェン(GO)をターゲットサンプルとし、HOPG、ITOの表面で比較することで、GOの絶対表面電位の局所評価を検討してきた。そこで今回、GO表面を光還元し、表面電位の変化について評価を行った。GOは可視光領域の光を照射するだけで光還元が起こることが報告されている。さらに、GO表面にアミノ基を化学修飾し、表面電位の変化も検討したので報告する。 GOは、グラファイト粉末からHummers法で合成した。AFM/KFM用サンプルは、HOPG、ITO上にそれぞれ2000rpm、1分間スピンコートして作製した。光還元GOは、ハロゲンランプで0分、10分、60分照射を行い作製した。アミノ基修飾GOは、エチレンジアミンをGO/HOPG上にキャスト、乾燥して作製した。AFM/KFMは導電性プローブを用い測定を行った。 結果、GOを光還元することで表面電位の減少を確認できた。また、アミノ基修飾GOでは、未修飾GOと比較して表面電位の増加が見られた。よって、KFMにより還元状態、酸化状態の違いを画像化でき、有機材料の表面電位の絶対的な議論が可能であることが確認された。 今後、様々な還元状態や酸化状態の異なるGOを作製、評価することで、半導体デバイスにおける有用性を広く示し、有機、無機、ポリマーなど様々な材料へのKFM観察技術応用の可能性を拡張することが期待される。
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Research Products
(1 results)