2017 Fiscal Year Annual Research Report
慢性骨髄性白血病再発防止を目指したJAK阻害剤による治療戦略
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17H00507
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
八木 健太 岡山大学, 病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2017
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Keywords | 慢性骨髄性白血病 / JAK / Imatinib |
Outline of Annual Research Achievements |
イマチニブ(Ima)は、慢性骨髄性白血病(CML)の特効薬として開発された。しかし、完全寛解後の休薬であっても白血病細胞が再増殖し、約60%の患者でCMLが再発する。近年の研究により再発の最大の原因であるCML幹細胞を根絶することにより再発を防止できると考えられているが、CML幹細胞はImaの標的作用部位であるBcr-Abl経路とは異なる経路を用いて生存していることが知られている。そのため、CML完治を目的としてCML幹細胞に有効な治療法の研究が行われている。 JAK2阻害薬Ruxolitinib(ジャカビ®錠)はCMLの再発防止に有効であることが報告されており、我々はこれまでに、関節リウマチ治療薬であるJAK3阻害薬Tofacitinib(ゼルヤンツ®錠)はImaとの併用において、Ruxolitinibと同程度に有意に細胞生存率を低下させることに加え、がん幹細胞のマーカーであるALDH1A1の発現を低下させることを明らかにした。しかし、JAK阻害薬がCML幹細胞に対して有効であるか、JAK-STAT経路とCML幹細胞との関連性については明らかとなっていない。 本研究では、CML細胞株K562を用いてBcr-AblおよびJAK-STAT経路との関連が示唆されている経路についてJAK阻害薬およびImaが与える影響について検討した。また、がん幹細胞マーカーの発現についても併せて検討を行った。薬剤曝露によって、がん幹細胞マーカーの発現量に変化はみられなかった。また、JAK-STAT経路との関連が示唆されているシグナル経路についてもImaおよびJAK阻害剤による影響はみられなかった。 今後は白血病細胞における幹細胞の指標であるCD34、CD38に加えて、ALDH1A1の発現状況およびALDHを阻害することによってこれらのシグナル経路および幹細胞マーカーの変動についてさらなる解析を行う。本研究の波及効果として、CMLの薬剤抵抗性メカニズムの一端を解明することで、新たなCML治療法開発が期待される。また、本研究成果に基づくさらなる詳細な機序解明により、化合物スクリーニングなどを用いた新規治療薬の開発が期待される。
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Research Products
(2 results)