2017 Fiscal Year Annual Research Report
造血幹細胞移植後の個別化免疫抑制療法確立に向けた遺伝子多型情報の有用性解明
Project/Area Number |
17H00510
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
末次 王卓 九州大学, 大学病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2017
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Keywords | 造血幹細胞移植 / タクロリムス / 遺伝子多型 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】カルシニューリン阻害薬であるタクロリムスは、造血幹細胞移植後の移植片対宿主病を制御する上で必要不可欠な薬物である。タクロリムスは、血中濃度データに基づく精密な用量調節が必要とされる一方で、近年では薬物代謝酵素であるチトクロムP450(CYP)3A5、CYP2C19に加えて、チトクロムP450 oxidoreductase(POR)の遺伝的多型性がタクロリムスの体内動態に影響を及ぼすことが知られている。本研究では、これまでのタクロリムスの精密な血中濃度管理を中心とした投与設計法に、薬物代謝酵素の遺伝子多型情報(CYP3A5、CYP2C19、POR)を加えることによって、造血幹細胞移植後の個別化免疫抑制療法をさらに発展させる分子生物学的指標の確立を目的とした。 【方法】九州大学病院において造血幹細胞移植を受け、移植片対宿主病の制御にタクロリムスを使用した患者を対象とした。ゲノムDNAは唾液より抽出した。CYP3A5、CYP2C19、PORの遺伝子の1塩基多型検出は、リアルタイムPCR法を用い、Light Cycler®による融解曲線分析にて実施した。 【成果】対象患者は3名であった。遺伝子多型について、CYP3A5は^*1/^*3が1名、^*3/^*3が2名であった。CYP2C19^*2の多型診断では^*1/^*1が1名、^*1/^*2が2名であり、CYP2C19^*3の多型診断では^*1/^*1が3名であった。PORは^*1/^*1が2名、^*28/^*28が1名であった。今回、Light Cycler®を用いてこれら遺伝子多型の情報が得られることが確認され、今後さらに症例を蓄積し、これらの遺伝子多型情報が造血幹細胞移植におけるタクロリムスの体内動態を規定する分子生物学的指標となり得るかを明らかにしていく。
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Research Products
(3 results)