2017 Fiscal Year Annual Research Report
大量メトトレキサート療法における血中濃度予測ノモグラムの作成
Project/Area Number |
17H00575
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
三坂 恒 金沢大学, 附属病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2017
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Keywords | メトトレキサート / 骨肉腫 / 血中濃度 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的 : 大量メトトレキサート療法は、骨肉腫に対する代表的な化学療法の一つである。腎障害や薬物間相互作用等により、メトトレキサート(MTX)の排泄が遅延すると、重篤な骨髄抑制、腎機能障害、粘膜炎等の副作用の発現率が増加するため、MTXの頻回な薬物血中濃度モニタリングが必須である。MTX濃度が基準値を超えた排泄遅延患者には、支持療法の強化が必要となるため、MTXの投与開始前に排泄遅延リスクを評価できれば、化学療法をより安全に実施できると考えられる。そこで、骨肉腫患者におけるMTXの排泄遅延因子を明らかにし、その結果をもとにした血中濃度予測ノモグラムを作成することを目的として本研究を行った。 研究方法 : 2005年~2016年に当院で大量MTX療法が実施された骨肉腫患者を対象に、患者背景、レジメン内容、MTX投与前検査値について後方視的に調査した。抽出された患者データについて単変量および多変量解析を行い、排泄遅延のリスク因子を検討した。本研究は、金沢大学医学倫理審査委員会の承認を得て実施した。 研究成果 : 調査対象患者45名に対して行われた計92サイクルのデータを解析した。MTX投与後24時間の血中濃度について、非排泄遅延群と比較し排泄遅延群で、女性の割合、シスプラチンおよびドキソルビシン累積投与量、血清クレアチニン、血中尿素窒素が有意に高く、24時間蓄尿より得られた実測クレアチニンクリアランス(CCr)が有意に低かった。これらの因子についてロジスティック回帰分析を行ったところ、CCrの低下、女性が排泄遅延のリスク因子として重要であることが示唆された。この結果をもとに、排泄遅延の有無を予測するノモグラムを作成した。この予測モデルのAUCは0.831と良好で、キャリブレーションによる予測値と実測値の比較も良好であった。今後、外部データを用いた検証を行い、予測精度についてさらに検証することが重要である。
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Research Products
(1 results)