2017 Fiscal Year Annual Research Report
Kitチロシンキナーゼの異常局在を標的としたマスト細胞白血病の新規治療法の開発
Project/Area Number |
17H00587
|
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
原 泰志 学校法人東京理科大学, 生命医科学研究所, 技術員
|
Project Period (FY) |
2017
|
Keywords | kit / M-COPA / マスト細胞白血病 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、マスト細胞腫における増殖シグナルの新規阻害戦術の構築を目的に、エンドリソソームで起こるKitシグナルに対する細胞内輸送の阻害剤である2-methylcoprophilinamide(M-COPA)の影響の解析を試みた。 マスト細胞白血病のKitシグナリングにおけるM-COPAの阻害効果では、Kitのエンドリソソーム局在が消失し、ERへの停留が認められ、この時、KitによるPI3K-Aktの活性化が顕著に阻害され、それに伴い、細胞増殖の抑制と、アポトーシスマーカーである開裂型カスパーゼ3が認められた。またERに停留したKit変異体の活性化状態を調べたところ、主なリン酸化部位であるY703などのリン酸化は維持されており、PI3Kの結合も認められた。すなわち、M-COPAは、Kitのリン酸化に影響を与えずに、Kitのシグナルプラットホームへの輸送を阻害してAkt活性化を抑制し、細胞死を誘導することが示唆される。したがって、本研究は、マスト細胞腫のイマチニブ抵抗型Kitシグナルの新たな阻害戦術の構築の一助となるものと考えられる。 本研究は、2017年度生命科学系学会合同年次大会にて「イマチニブ耐性Kitの阻害に関する新規戦略 : M-COPAによる分泌経路の阻害はマスト細胞腫のエンドリソソームにおけるKitのがんシグナルを抑制する」というタイトルで報告を行った。また、学術論文にて、PLoS ONE Volume 12, No.4, c0175514. “M-COPA suppresses endolysosomal Kit-Akt oncogenic signalling through inhibiting the secretory pathway in neoplastic mast cells”というタイトルで報告を行った。 今後は、マスト細胞腫の担がんマウスにおけるM-COPAの治療効果を調べ、治療薬候補としての評価を進める予定である。
|