2017 Fiscal Year Annual Research Report
ディスオーダー領域を有するリン酸化タンパク質を利用した新規抗癌剤の創出
Project/Area Number |
17H00588
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
廣瀬 松美 国立研究開発法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, テクニカルスタッフI
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Project Period (FY) |
2017
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Keywords | IRBIT / リボヌクレオチド還元酵素 / 天然変性領域 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者の所属する研究室でクローニングされた多機能タンパク質IRBITは、DNA合成に必要なデオキシリボヌクレオチドを合成する代謝酵素リボヌクレオチド還元酵素(RNR)の活性を制御する。RNRの阻害剤は抗癌剤として広く用いられており、IRBIT由来のペプチドをRNR阻害剤として利用できるか検討した。RNRとの結合には、IRBITのN末端約100アミノ酸の天然変性領域が重要な役割を果たしている。この配列には、多数のSer/Thr残基が存在し、うち少なくとも7カ所はリン酸化される。これらのSer/Thr残基のうち、S64, S66, S68, S70, S71, T72, S74, S76, S77, S80, T82, S84, S85, S90を、Ala(非リン酸化型)あるいはAsp(リン酸化ミミック型)に置換した部位特異的突然変異体を作成した。これらのIRBIT変異体とRNRをHeLa細胞に過剰発現し、免疫沈降法で結合を解析した。 その結果、IRBITのS66, S68, S70, S71, S74, S77, S84をAlaに置換すると、RNRとの結合が顕著に阻害された。S68, S71, S74, S77, S84はリン酸化部位であり、これらのSerのリン酸化がRNRとの結合に重要である可能性が示唆された。リン酸化非依存的に結合するペプチドを見出す目的で、これらのSerをAspへの置換したIRBIT変異体とリボヌクレオチド還元酵素との結合を解析したところ、S68Dは全く結合せず、S74Dは結合が顕著に阻害された。以上の結果より、IRBITの天然変性領域のリン酸化がRNRとの結合を制御すること、RNRを抑制するIRBIT由来のペプチドの開発は困難であることが明らかになった。
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Research Products
(2 results)