2017 Fiscal Year Annual Research Report
新規アディポカイン「オメンチン」の腹部大動脈瘤形成および進展における役割解明
Project/Area Number |
17H00633
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
井上 陽子 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 技術補佐員
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Project Period (FY) |
2017
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Keywords | オメンチン / 動脈瘤 / 抗炎症作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、新規アディポカイン「オメンチン」の腹部大動脈瘤形成および進展における役割を個体レベル、細胞レベルで解明し、その臨床的意義を明らかとすることである。 申請者は、まず、脂肪組織ヒトオメンチン過剰発現マウスを動脈硬化モデルであるアポリポ蛋白E欠損マウスと交配させ、アポリポ蛋白E欠損オメンチン過剰発現マウスを作成し、アポリポ蛋白E欠損マウスと比較検討した。その結果、オメンチンの過剰発現は、アポE欠損マウスの動脈硬化巣の形成を有意に抑制し、動脈硬化巣におけるマクロファージの集積と大動脈における炎症関連遺伝子の発現も抑制していた。次に、これらのマウスに対しアンジオテンシンⅡ(1000ng/kg ; Sigma-Aldrich)の持続投与を行い、大動脈瘤モデルを作成した。その結果、オメンチンの過剰発現は、腹部大動脈の瘤形成(AAA incidenceやMaximal abdominal aortic diameter)を有意に抑制した。現在、各実験群で得られた動脈瘤組織を用いて、マトリックスメタロプロテアーゼや蛋白分解酵素(カテプシンL)とその阻害物質(シスタチンC)の発現を検討している。 本研究課題は、新規アディポカイン「オメンチン」の腹部大動脈瘤形成および進展における役割を個体レベル、細胞レベルで解明し、その臨床的意義を明らかとすることである。現在までに、オメンチンが大動脈瘤形成に抑制的に働くアディポサイトカインであることを見出した。このことは、オメンチンが大動脈瘤治療に対する新たな標的分子となりうる可能性を示唆している。現時点までの成果は、2017年10月に行われた第38回日本肥満学会にて発表。今後さらに詳細な機序の検討、臨床応用に向けてさらなる検討が必要であると考えられた。
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Research Products
(1 results)