2018 Fiscal Year Annual Research Report
Sports Simulation Science for Intervention in Acquisition and Learning of Motion
Project/Area Number |
17H00766
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 仁彦 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 教授 (20159073)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 渉 大阪大学, 数理・データ科学教育研究センター, 特任教授(常勤) (30512090)
山本 江 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 准教授 (20641880)
池上 洋介 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 助教 (90774414)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ディジタルヒューマンモデル / スポーツ科学 / シミュレーション / 運動トレーニング / バイオメカニクス / ビデオモーションキャプチャ / データマイニング / クラウドコンピューティング |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度に複数台のカメラからの映像にDNNの技術を用いた関節位置推定アルゴリズムを適用し、骨格構造情報と時間的連続性を考慮して骨格運動の3次元再構成を行う基礎技術を開発した。これは従来のマーカ付きモーションキャプチャ技術の多くに課題を解決する以下のような特徴がある。(1) ラベリング不要である、(2) 屋内屋外や空間の大きさに制限されない、(3) 装置やマーカを身に付ける必要がなく準備時間も不要である。
平成30年度にはこの技術を用いて、(A)映像取得、骨格運動の3次元再構成、動力学計算、筋活動度可視化までを一気通貫で実行するビデオ・モーションキャプチャ・システムを開発、(B)画像サイズとDNN計算解像度を最適化し、30FPSで0.5秒の遅れで実時間で実行するVMocapを開発、(C) 屋外フットサルコート(半面:20mx20m)体育館 (35mx45m)などの広空間計測のためのキャリブレーション法を開発した。(D) ビデオ・モーションキャプチャ技術をGPU クラウド(東京大学情報理工学系研究科 IST Cloud)に実装した。
モーションキャプチャを高齢者のフレイリティのレベル判別に用いることを提案し、実証試験を行った。ビデオ・モーションキャプチャの簡便性を利用して、前十字靭帯損傷のリスクとの関係が指摘されている膝関節の操作性を調べるために、東大病院の整形外科のグループと共同研究を行い、1年間に高校生、大学生の運動部員のべ約500名を対象に、「低い台から飛び降り、直後にジャンプを行う運動」の計測を行った。アスリートの運動解析では、平成30年度には体操選手、サッカー選手(フットサル)、ゴルフなどのトップアスリートの計測を通して、計測システムと計測技術の確立を行った。また、体操の技の自動採点システムのアルゴリズム開発を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
(1)人間情報学基盤ソフトウェアの整備、(2-1)人間の神経筋骨格系からなる身体運動制御モデルの開発、(2-2)個人の身体運動制御モデルに基づくトレーニング目標の推論、(3-1)基盤ソフトウェアの利用環境の構築、(3-2)スポーツ・ビッグデータ収集環境と統計情報処理、をサブテーマとして、平成29-30年度には(1)、(2-1)、(3-1)、平成30-令和元年に、(2-2)、(3-2)を計画していた。
平成29-30年度に(1)と(3-1)は計画通り研究が進展した。(1)では平成29年度にビデオモーションキャプチャ技術を開発し、IEEE/JRS IROS2018においてベスト・インターラクティブ・プレゼンテーション・ファイナリスト賞を受賞した。(3-1)は、Amazon WEB Services (AWS)ではなく、高性能GPUが利用できることから東京大学情報理工学系研究科のIST Cloudを使用した。現在は、東京大学情報基盤センターのGPUクラウド上に構築を進めている。(2-1)は脊髄反射のシナプス結合を対象にしていた。スイス連邦工科大学ローザンヌ校のMark-Oliber Gewaltig教授との共同研究で、ヒューマンブレインプロジェクトのマウスブレインモデル(小規模版)が利用ができることになり、哺乳類脳の領野構造を利用した反射モデルを構築する拡大問題に取り組んだ。脳の領域と脊髄のモータニューロンをつなぐモデルを作成した。リザーバ・コンピューティングでシナプス重みを学習する枠組みを開発した。
平成30-令和元年度の(2-2)は計画通りに進展した。体操のあん馬やゴルフのトレーニング法の研究を行った。高齢者のフレーリティのレベルの判別、体操競技の技の自動判定技術を開発した。(3-2)については約500名の学生アスリートの計測、トップアスリートの計測などで成果を上げた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が本研究の最終年度である。研究の進展により、当初計画において以下の点を変更追加するとともに、研究全体で科学的スポーツトレーニング法の体系化を目標として意識しながら研究を推進する。
(2-1)は平成30年度までの予定であったが、これまでの研究で発展したリザーバ・コンピューティングによる学習の研究を継続する。 (2-2)については当初の計画通り研究を実施する。異なる競技や対象者グループでのトレーニングについての知見を体系化することを目指す。 (3-2)の展開を推し進め、ビデオ・モーションキャプチャ技術をクラウド・コンピューティングした形のサービスを幾つかの運動競技団体に試用してもらう形で社会実証試験を行いたいと考えている。
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Research Products
(19 results)