2018 Fiscal Year Annual Research Report
防災と被災地復興の基盤を形成する地域災害資料・情報学の構築―国際比較の観点から―
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17H00772
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
白井 哲哉 筑波大学, 図書館情報メディア系, 教授 (70568211)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
バールィシェフ エドワルド 筑波大学, 図書館情報メディア系, 助教 (00581125)
阪口 哲男 筑波大学, 図書館情報メディア系, 准教授 (10225790)
照山 絢子 筑波大学, 図書館情報メディア系, 助教 (10745590)
辻 泰明 筑波大学, 図書館情報メディア系, 教授 (30767421)
宇陀 則彦 筑波大学, 図書館情報メディア系, 准教授 (50261813)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アーカイブズ / 地域災害資料 / 原子力災害 / 災害資料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の2年目にあたる2018年度の主な成果について、構内資料研究班では研究報告会開催とその報告書作成、海外資料研究班では海外視察と国際シンポジウム開催を行った。 前者について、前年度に調査を進めた福島県の東日本大震災及び原子力災害被災自治体の災害アーカイブに関する現状と課題を把握するため、2018年4月30日に筑波大学東京キャンパス文京校舎において、フォーラム「福島の震災遺産と震災アーカイブズの構築」を開催した。報告者は福島県立博物館、福島県双葉町・大熊町・富岡町からの各4名のほか、元筑波大学教授の研究協力者及び神戸大学の連携研究者各1名からコメントを得て計6名で構成し、50名の参加を得た。このフォーラムの内容は、2019年3月に報告書としてまとめ、前掲の報告内容に加えて討論要旨、参加記1本、当日のアンケート集計結果を掲載した。特にアンケート集計結果は、今後の研究に有意義な意見が寄せられた。 後者について、2019年3月にインドネシアのスマトラ州バンダアチェにおいてスマトラ大地震に伴うアチェ津波の被災資料及び震災資料の視察調査を実施した。また、現地のSyrah Kuala 大学において、同大学と筑波大学との共催で国際シンポジウム“PRESERVING AND USING DISASTERS ARCHIVES:LINKING JAPANESE AND INDONESIAN EXPERIENCES”を開催した。日本側からは福島県立博物館及び筑波大学の研究分担者・研究員による報告2本、インドネシア側からはアチェ津波博物館の元館長及び前館長、Syrah Kuala 大学教員、筑波大学大学院図書館情報Mディア研究科の留学生の計4名Bによる報告4本が行われた。この国際シンポジウムの成果は2019年度に刊行する予定である。 このほか各研究分担者等が個別のテーマに基づく調査研究に従事した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、国内資料研究班と海外資料研究班に大きく分かれて研究活動を進めている。 国内資料研究班は、筑波大学が福島県双葉町と協定を締結して管理している東日本大震災の震災資料について整理及び調査を進めるとともに、福島県浜通り地区の帰還困難区域内に残された震災資料について調査を進めた。そして今後の調査研究及び成果公表に資するため、2011年3月11日夜に福島県富岡町の災害対策本部、同双葉町の社会福祉協議会、福島県立双葉高校の3箇所で書かれたホワイトボードの記録を撮影するとともに、簡易複製を作成した。これらの資料は、東日本大震災の当日夜における現地での行動や思考について復元的に考察する上で重要な記録である。また2018年度に着手した、双葉町役場埼玉支所における町役場と避難者の会議の記録について撮影作業を継続し、完了させた。このほか、双葉町の震災資料紹介ホームページにおけるクラウドソーシング技術を用いた資料紹介システムの再検討と改善に関する研究、阪神・淡路大震災被災地の神戸における被災経験の聞き取り調査等を実施した。 海外資料研究班は、2019年3月にインドネシアのスマトラ州バンダアチェにおいてスマトラ大地震に伴うアチェ津波の被災資料及び震災資料の視察調査を実施し、現地における災害資料の実態及び保存活用の現状を調査した。また、東日本大震災アーカイブの映像資料に関する調査を実施し、Society of Cinema and Media Studies国際学会において情報収集を行った。さらに、ロシアにおいて災害関係資料に関する調査文献の探索を行った。 このように本研究は、全体としておおむね当初の計画どおりの進捗を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
3年目にあたる2019年度において本研究は、国内資料研究班において整理作業と調査を続けている福島県双葉町の震災資料について具体的な分析作業に着手する予定である。具体的には、2017年度と2018年度に複製を作成した諸資料の内容分析を進め、特に、現在もなお実態が未解明である、2011年3月11日~12日における原子力災害被災自治体の動向について検討を進める。 海外資料研究班は、当初の計画に基づきウクライナのチェルノブイリ資料館の視察調査を実施する予定である。ただし現在ウクライナはロシアと戦争状態にあり、現地との交渉の過程で調査が困難と判断された場合は、2000年代初頭に大地震の被害を受けて現在は国立地震博物館が建てられているトルコの調査を実施することも考えている。 このほか、各研究分担者等が個別の研究テーマの調査研究に取り組む予定である。
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Research Products
(12 results)