2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a color universal design method based on color appearances of dichromats
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17H00809
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
須長 正治 九州大学, 芸術工学研究院, 教授 (60294998)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 2色覚 / カラーユニバーサルデザイン / 配色 / 色見本 |
Outline of Annual Research Achievements |
色彩知覚では,知覚的群化や体制化が生じやすいため,一般的に,デザインの分野にて,色彩は情報伝達の手段として頻繁に利用される.しかし,ヒトの色覚には,色覚異常と呼ばれる色覚特性もあり,多様性があることが知られており,この多様性を考慮すぜに色彩デザインを行うと,情報伝達における色の効力を失うだけではなく,ミスリードを引き起こしたりする場合もある.これを避けるためには,色覚の多様性を考慮した色彩デザインが必要となり,そのデザイン手法はカラーユニバーサルデザインと呼ばれている.カラーユニバーサルデザインを実践するにあたり,従来は,色覚正常と呼ばれる3色覚向け配色を行ったのちに,色覚異常の色の見えに変換し,色による情報が伝達されるかどうか確認をする方法が一般的であった.しかし,この手法は試行錯誤を要するという欠点があった.そこで,本研究では,色覚配色を先に行うのではなく,2色覚の色知覚平面にて,2色覚向け配色を行った後に,2色覚に対する色の見えを保持しつ つ,3色覚向け配色へと展開する2色覚の色知覚を基点とした新しいカラーユニバーサルデザイン手法を開発し,実用化することである. 本年度は,具体的に,提案を方法を1948色のNCS色票を使用し,提案手法を実践するための配色のための色見本の作成を行った.さらに,その手法を実際の色彩デザインに活用し,その結果についての調査も行った,調査結果より,本色見本を使用すれば,色覚異常に見分けやすい配色の提案が容易に可能となることが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々は提案する2色覚を基点とするカラーユニバーサルデザイン(以下,CUD)を実践するためには,実際に2色覚の色の見えでの配色,そして,2色覚の混同色への色変換という2段階の手順を踏む必要がある,2018年度に制作したものは199色の色見本であったが,2019年度は,1948色からなるNatural Color Systemの色票を用い,2色覚基点のCUD配色のための色見本の作成を行った.さらに,この際,新しい表色システムであるCIE2015XYZを採用し,最新の知見も本手法に取り入れた.CUDの実践において,最初の段階の2色覚の色の見えとしては,主波長が475nmの青,無彩色,そして,朱波長が575nmの黄色の色平面を採用し,2段階目の混同色への色変換として,2色覚によっては最初の段階で選ばれた色と同じ系統色名に属する色を採用した.そして,この手順を実際に実行できるような紙媒体の色見本の制作を行った. 1948色の色票のうち,1型2色覚,2型2色覚にも対応可能な色票数は,約1100色の約57%であった.また,制作した色見本を使用し,実際に,色彩デザインを行った.出来上がったデザインを9名の色覚異常の方に観察してもらい,検証した結果,全員から,みやすくなったとの回答を得ることができ,本手法の有効性がデザインの成果物の点から確認することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は,2色覚基点のカラーユニバーサルデザイン(以下,CUD)を実践するための色見本を紙媒体として制作した.さらに,制作した色見本を用い,成果物がCUDとなっているかどうかの観点から検証を行い,その有効性を確認した. 2020年度は,成果物の観点からだけではなく,デザイナの観点から,この色見保の使いやすさやCUDへの理解という観点からも評価する. また,紙媒体の色見本では,色数が色票の数に限定されてしまうため,微妙な色の違いもの扱えるデジタルでの色見本の作成に取り掛かる.さらに,屋外の視覚表示物では,照明光は一定ではなく,季節や時間により変化する,この変化により,色の見えや色見本作成で使用した系統色名カテゴリへの影響も調査し,照明光の変化に対する本色見本のトレランスも検討し,その応用範囲についても検討を行っていく計画である. 以上のような色見本の新たな展開を行うのと同時に,本色見本を様々な色彩デザインへ応用し,多くのデザイナへの周知につとめ,本手法の啓蒙活動についても力をいれる予定である.
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Research Products
(4 results)