2019 Fiscal Year Annual Research Report
Cross-national comparative study on vehicle horn use: Design of vehicle horn and transportation system in the next-generation mobility society
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17H00812
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高田 正幸 九州大学, 芸術工学研究院, 准教授 (40315156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大枝 良直 九州大学, 工学研究院, 准教授 (10253501)
山内 勝也 九州大学, 芸術工学研究院, 准教授 (10380718)
金 基弘 駿河台大学, メディア情報学部, 准教授 (90584665)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 警笛 / ドライバー / 警笛の発生要因 / 交通心理モデル / 交通環境 / 交通法規 / 騒音影響 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に台湾(台北市)で行った,警笛の使用とドライバーの外的・内的要因の関連を検討するためのアンケート調査を国内(福岡市)で行った。アンケートの質問項目は前年度と同様であり,外的要因との関連については,交差点におけるさまざまな交通状況をシナリオとして提示して,警笛を使用するか否かを判断させた。内的要因については,交通心理モデルに基づいた各種要因に対応する質問を提示して評価させた。警笛使用と外的要因を対応付けるロジスティック回帰モデルから,相手車両の速度が遅い場合や割り込みによって警笛使用の確率が高まることが示唆された。台北市の結果と異なる点として,相手の車種や自車が右左折中かどうかも警笛の使用に関係することが分かった。内的要因に関しては,ドライバーの態度,知覚行動制御性,道徳意識が警笛の使用に関係することが示唆された。同様の結果が台北市の調査でも確認されている。さらに,警笛使用についての意識を調べるアンケート調査をベトナムでも試みた。 警笛の発生状況と交通環境・交通システムの関連を検討するため,韓国・ソウル市内の交差点3箇所で実測調査を実施した。交通量や信号周期,道路構造と警笛の発生回数の対応を分析したところ,台北や福岡の結果と同様に,普通自動車の交通量が多くなるほど警笛の発生回数も多くなる傾向が認められた。交差点の映像データをもとに警笛発生時の車両の動きを解析したところ,交差点内での車両の滞留や,異なる方向から同方向に交差点に流入する,あるいは異なる方向から同方向に流出する車両同士の交錯(接近)など,交通流が不安定になる状況で警笛が使用されることが分かった。 警笛の発生要因の一つと考えられた車両の割り込みに注目し,ロジスティック回帰モデルによる詳細な要因分析を行ったところ,接近する車両の相対速度,車頭距離,割り込み車両の速度,混雑度が警笛の使用に影響することが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に,ドライバーの警笛使用に影響する外的要因(交通環境要因)および内的要因(交通心理学的要因)と警笛使用の関係を明らかにするためのアンケート調査を台湾・台北市で実施した。2019年度は,計画どおり国内で同様の調査を行った。結果として,ドライバーの警笛使用に関係すると思われる交通環境要因やドライバーの交通心理学的要因が明らかになった。また,台湾の結果とは異なる特徴(例えば,相手の車種,自車が右左折中かどうかと警笛使用の関連など)も確認された。 さらに,警笛使用と交通環境・交通システムの関連を検討するための実測調査を韓国・ソウル市内の3箇所の交差点で行い,交差点での交通量や道路構造と警笛発生の関連,信号の周期中の警笛の発生頻度などを分析した。結果として,台北市や福岡市の結果と同様に警笛の発生回数と普通車の交通量に対応関係が見られ,交差点の映像データからは警笛が使用されやすい交通状況を把握することができた。 また,警笛の発生要因の一つと考えられる車両の割り込みに注目した警笛発生に関する数理モデルを検討し,影響する交通システム上の要因を詳細に分析した。 福岡での実測調査の詳細分析,例えば警笛が使用される交通状況の分類,交通環境要因と警笛発生の定量的分析などを進めているところではあるが,2020年度に実施予定のドライバーの行動検証実験で用いるドライビングシミュレータの準備は概ね完了しており,実験に向けて準備が整いつつある。 これらの成果は当初の計画に沿うものであることから,以上のように判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた,ドライバーの警笛使用と内的要因(交通心理学的要因),外的要因(交通環境要因)の関連を検証するための実験的な検討を行う。具体的には,ドライバーによる警笛使用に関係することが示唆された交通環境要因(車速,相手車両との相対的速度差,他車の割り込み等)について具体的条件を設定し,これらの条件を含んだ交通状況あるいは交通シナリオ(刺激)をドライビングシミュレータ上で再現する。実験参加者がドライビングシミュレータで再現された交通状況の中で運転操作を行い,走行中の警笛使用の有無を記録する。さらに,警笛の使用に対する内的要因の影響を調べるため,実験参加者に警笛使用に関する意識を尋ねるアンケートを行う。以上のような交通行動実験により,ドライバーによる警笛使用と各種要因の関連について検証を行う。万一この実験を実施できない場合は,自動車走行時の運転席からの映像などを用いた簡易的な実験で代替することも検討する。 加えて,車内のドライバーが聴取可能で,かつ歩行者への影響を極力抑えた警笛のデザインを聴取実験により検討する。この実験では保安基準や工業規格に囚われずにさまざまな可能性を試したい。すなわち,さまざまな周波数特性,時間特性を持つ警笛音を作成する。音量に関しては現行の保安基準に沿った音圧レベルとし,ドライバーや歩行者が聴取した時の反応を評価する。 最終的には,これまでに得られた研究成果を総括し,警笛に起因する騒音問題の解決に向けた提言をまとめたい。
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Research Products
(8 results)