2017 Fiscal Year Annual Research Report
Pathological analysis and drug discovery for stomach cancer using human stomach organoids
Project/Area Number |
17H00861
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
栗崎 晃 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (60346616)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畠山 昌則 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (40189551)
原本 悦和 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (30540869)
高田 仁実 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (80641068)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 胃 / がん / 分化 / 幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究室の引っ越しにより実験の進捗に遅れを生じたが、新たに異動先で入学した奈良先端大の大学院生をゼロからトレーニングし、本研究を推進する体制の再構築を進めている。まだ学生の手技の熟練に時間が必要であるが、徐々にデータが取れるようになってきている。 先行して進めているマウスES細胞を用いた胃オルガノイドの作製に関しては、胃オルガノイド作製の前半部分のプロトコルの最適化に目途が立ちつつある。また、ピロリ菌の主要病原性因子であるCagA遺伝子を発現誘導するES細胞株の樹立も進めている。ただ、CagAはかなり大きなタンパク質であるため、発現株を取得しても発現が消失してしまうトラブルを経験しており、再度発現株の取得を試みている。 一方、ヒトiPS細胞を用いたヒト胃オルガノイドの分化培養条件の最適化にはやや時間を要している。ヒトiPS細胞に関しても別途CagA遺伝子を発現させるiPS細胞株の樹立を進めつつ、胃オルガノイドの培養条件の最適化を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は胃がんモデルオルガノイドの作製を急ぐため、培養方法と前がん状態作製方法がほぼ確立しているマウスES細胞の分化系を用いてその改良を行いつつ、ピロリ菌の主要病原性因子であるCagA遺伝子をテトラサイクリン依存的に発現誘導するノックインES細胞株の樹立を進めている。このES細胞株はtet-offシステムで制御されており、テトラサイクリンを培養系から除去するとCagAを高発現する株である。本ES細胞で胃オルガノイドを分化誘導により作製した後、CagAを高発現させてピロリ菌病原性因子による病変を胃オルガノイドで再現し、免疫組織染色と遺伝子発現により解析する予定であり、現在その準備を進めている。これまで複数のCagA高発現株を樹立したが、培養途中でCagAの発現が急速に低下して検出できなくなる現象が見られており、現在培養方法を改変して新たなCagA高発現株の樹立を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
マウスES細胞を用いた胃オルガノイドの分化誘導に関しては、より安定した分化系を構築するための条件の最適化を進めている。また、学生の実験手技がだんだん安定してきたため、qRT-PCRや微小オルガノイドの凍結切片の作製、免疫組織染色も徐々にきれいなデータが取れるようになってきている。マウス胃オルガノイドに関しては分化の前半部分の条件の最適化に目途がつきつつあるため、オルガノイドの成熟化条件についても最適化を進めていきたい。 一方、ヒトiPS細胞由来の胃オルガノイドに関しては、分化誘導の培養条件の最適化が遅れている。こちらも別途CagA遺伝子を発現させるiPS細胞株の樹立を進めつつ、胃オルガノイドの培養条件の最適化を進める予定である。 また、作製した胃組織の成熟化方法の改良に関しては、成体マウスや新生児マウスの未成熟な胃組織細胞の遺伝子発現解析データを解析して、有効な成熟化シグナルの検索を進める。
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Research Products
(2 results)