2017 Fiscal Year Annual Research Report
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17H00883
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
船曳 康子 京都大学, 人間・環境学研究科, 准教授 (80378744)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 英治 京都大学, 医学研究科, 講師 (10544950)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 発達障害 / パーソナリティ / メンタルヘルス |
Outline of Annual Research Achievements |
倫理委員会の承認を得たのちに、以下の3通りの方法で進めた。 1.質問紙による全国調査:乳幼児から高齢者までの計15000例余りについて、全国から収集した発達特性、人格、メンタルヘルスの質問紙(ASEBA、MSPA、ASSQなど)の集計を行った。まずは、全国のメンタルヘルスの標準値を完成させた。次に、発達特性とメンタルヘルス、行動特徴の関係性について解析を行い、我が国の若い女性のメンタルヘルスの不安定さが見出された。特に、自身はメンタルヘルスが悪いと認識しているが、周囲はそのように受け取っていない状況が確認された。男性、45歳以上の女性、さらには米国ではこのような特徴は見出せず、日本の文化様式の結果であると伺われた。国内比較として、地域差の検討を行い、高齢者では、都市部での孤立傾向が見られた。 2.臨床フィールドにおける認知・行動評価:若年成人におけるNIRSのデータに対して、特に巧緻性面と発達特性の解析を進めた。その過程で、NIRSによる小脳の計測の可能性を検討し、7-8割程度は計測安定性を示した。その上で、巧緻性に困難を抱える人は、巧緻性課題時に左小脳の活動が高くなる傾向にあった。また、巧緻性課題時には、NIRS計測における両側後頭葉の活動が陰転化することが示された。 3.胎児からのコホートデータの分析:京大病院産婦人科と連携し、妊娠時に登録し、胎児の超音波や胎動モニターによる行動観察、出生後、10か月、18か月、36か月の発達調査を行い、計50例程度が登録された。また、アンケートのみの縦断調査も開始し、30例ほど登録された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該研究の基盤整備は順調であり、リクルートシステムの確立、機材類の調整や計測安定性が確認された。データほぼ予定通り集まりつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
1.質問紙による全国調査:乳幼児から高齢者まで年齢層ごとに収集した、発達特性、人格、メンタルヘルスの質問紙(ASEBA、MSPA、ASSQなど)からのデータの解析を進める。発達特性とメンタルヘルス、人格傾向の関係性を明確にし、次に性差の特徴を見出す。また、同質問紙による他国のデータと比較し、国によって差のある部分とない部分を分ける。 2.臨床フィールドにおける認知・行動評価:精神科、小児科、教育センター、保育現場から取得した上記質問紙と行動・認知機能評価から、臨床疾患の発症と基盤因子・環境因子の関係性を解析する。NIRSや脳波を用いた認知課題の行った50例からは脳機能と精神症状との関連性について分析を進め、可変性をさらに探索する。 3.胎児からのコホートデータの分析:妊娠時に登録し、胎児の超音波や胎動モニターによる行動観察、出生時の臍帯血、出生後、3か月、10か月、18か月、36か月、60か月のコホートを進行させる。取得済みのデータから、縦断的な変化についての分析を進めていく。アンケートのみの群は症例を増やして、環境と発達との関連調査を進める。
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Research Products
(16 results)