2018 Fiscal Year Annual Research Report
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17H00883
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
船曳 康子 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (80378744)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 英治 京都大学, 医学研究科, 准教授 (10544950)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | パーソナリティ / メンタルヘルス / 発達障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度も以下の3通りの方法で進めた。 1.質問紙による全国調査 :乳幼児から高齢者までの計15000例余りの全国から収集した発達特性、人格、メンタルヘルスの質問紙(ASEBA、MSPA、ASSQなど)のデータからの知見を発展させた。まず、発達障害傾向のある人のメンタルヘルスを維持するストレングスの要因として、公平感や自己効力感などがあげられた。また、発達障害者は自己理解と他者評価が乖離しやすく、それらの傾向に男女の差があった。高齢者のデータから地域差の検討をおこなったところ、都会と地方でメンタルヘルスに差を認め、都会の男性ほど孤立を好み、メンタルヘルスも悪い傾向があった。乳幼児データからは、言語発達の男女を検討し、2歳後半で女児が早く言語を発達させるが、数か月で差が見られなくなった。さらに、吃音者のメンタルヘルスの解析も行い、ADHD児が多いこと、また、周囲から好かれていないという意識を持ちやすいことが見出された。 2.臨床フィールドにおける認知行動評価:若年成人の自閉スペクトラム症群と対照群におけるNIRSのデータから、特に巧緻性面と発達特性の解析を進めた。巧緻性作業時には、視覚野の反応は陰転化し、前頭葉、頭頂葉が活発化、小脳の反応も見られ、同時にNIRSによる小脳計測の可能性が示唆された。また、自閉スペクトラム症者の右前頭葉の賦活が低く、イメージを描かずに巧緻作業を行っていることが示唆された。更には男女差も見られ、女性の方が前頭葉の賦活を必要とせずに巧緻性作業をしているようであった。 3.胎児からのコホートデータの分析:京大病院婦人科と連携し、妊娠時に登録し、胎児の超音波や胎動モニターによる行動観察、出生後、10か月、18か月、36か月の発達調査を行い、66例を登録した。それらのデータの解析を始め、発達障害傾向の子どもの認知や行動の特徴を検討した。また、アンケートのみの追跡調査も進め、75例となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
順調にリクルートも進み、予定外の問題は生じていない。解析の方も多面的に進め、論文も複数執筆している。
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Strategy for Future Research Activity |
乳幼児縦断研究に関しては、詳細な行動観察群、アンケートのみの群ともに、引き続きリクルートを継続しながら、蓄積されたデータの集計を進めていく。特に、発達障害児の特徴を早期段階から見出せるよう、認知面、運動面、行動面、さらには保護者の視点による質問紙の解析も行う。 メンタルヘルスの全国調査や脳機能計測に関しては、すでにリクルートは終了しており、それらのデータの解析も多面的に進めてきたが、さらに新たな知見を見出せるように分析や検討を行う。また、論文の執筆、公表を継続していく。特に、メンタルヘルスに関しては、青少年のメディア依存に焦点を当てた調査や解析も進めていく。脳機能計測は、NIRSに加え、脳波解析も加えて、自閉スペクトラム症の特徴を、行動と照らし合わせながらその背景にある認知メカニズムを見出していく。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Comparative Analyses of Copy-Number Variation in Autism Spectrum Disorder and Schizophrenia Reveal Etiological Overlap and Biological Insights2018
Author(s)
Kushima I, Aleksic B, Nakatochi M, Shimamura T, Okada T, Uno Y, Morikawa M, Ishizuka K, Shiino T, Kimura H, Arioka Y, Yoshimi A, Takasaki Y, Yu Y, Nakamura Y, Yamamoto M, Iidaka T, Iritani S, Inada T, Ogawa N, Shishido E, Torii Y, Kawano N, Omura Y, Yoshikawa T, Uchiyama T, 30名, Funabiki Y, 22名, Ozaki N.
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Journal Title
Cell Reports
Volume: 24
Pages: 2838~2856
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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