2019 Fiscal Year Annual Research Report
Novel membrane proteins by combining computational design and in vitro directed eovlution
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17H00888
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松浦 友亮 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (50362653)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大崎 寿久 地方独立行政法人神奈川県立産業技術総合研究所, 人工細胞膜システムグループ, サブリーダー (50533650)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 人工膜タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、機能性人工膜タンパク質を計算機による合理的デザインと進化分子工学を組み合わせて創り出すことを目指す。機能を持つ人工膜タンパク質の創生が可能となれば、膜タンパク質の設計原理が明らかになるだけでなく、医療や産業界で様々な分野で利用可能な人工分子を創り出せる可能性がある。 米国の研究協力者らは近年、安定なヘリックスバンドル構造を自在にデザインできる理論を開発した(Huang et al., Science, 2014)。彼らは、この論理を拡張し脂質二重膜に組み込まれるようにヘリックスバンドル構造をデザインしなおした(Lu et al., Science, 2018)。次に、サイズの異なるポアを持つ人工膜タンパク質をデザインした。 我々は、現在までに、人工膜タンパク質の一つである7h2L及びそれの変異体の機能を我々の独自技術であるリポソームディスプレイ法を用いて計測し、ポアの存在を確認した。本タンパク質は7量体を形成するようにデザインされている。リポソームディスプレイ法とは、細胞サイズの人工脂質二重膜小胞内にセルフリータンパク質合成系を封入し、内部で膜タンパク質を合成する方法である。 本年度は、7h2Lとその変異体であるC7_s2の機能向上を進化分子工学的手法と合わせて合理的設計で行うことを目指し、脂質・水相界面に存在する残基に変異を導入することで高機能変異体を取得することに成功した。これに加えてC6、C8と名付けられたそれぞれ6量体、8量体を形成する人工膜タンパク質の機能解析を行った。セルフリータンパク質合成系で合成した人工タンパク質の機能アッセイ系及び、構造特性を調べる手法を確立し、その結果、構造から予測される機能が計測できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度も人工膜タンパク質の一つである7h2Lとその変異体であるC7_s2の高機能化に取り組んだ。2つの膜タンパク質は、10オーングストロームのポアを持つようにデザインされている。一方で、その機能は、天然のポア形成タンパク質(αヘモリシン)と比べると著しく低い。ランダム変異を導入したライブラリーを用い機能進化をはかったが、機能の向上が見られる変異体は得られなかった。ここで言う機能とは、リポソーム外部に加えたAlexaFluor488-biotinの拡散によるリポソーム内への流入である。そこで、天然の膜タンパク質が持つ配列の特徴、すなわち細胞質側に正電荷のアミノ酸残基が偏って存在していること及び、細胞外側には疎水性残基が多く存在するという二つを元に複数の変異体をデザインし、これらの機能を調べた。その結果、後者のルールをもとに導入した変異は7h2Lの機能向上に寄与することが明らかになった。今後、詳細な機能向上メカニズムを明らかにしてゆく。 平行して、これに加えてC6、C8と名付けられたそれぞれ6量体、8量体を形成する人工膜タンパク質の機能解析を行った。具体的には、緑色蛍光物質であるAlexaFluor488-biotin(<10オーングストローム)とAlexaFluor488-A11-biotin(>>10オーングストローム)の2種類の蛍光物質を用い、リポソーム膜上にC6とC8で形成されるポアを透過するのかを調べることによって、ポアの大きさがデザイン通りであることを確認した。加えて、C6、C8をリポソーム存在下でセルフリータンパク質合成系で合成し、発現量や膜挿入効率を定量した。さらには、人工タンパク質の4次構造の解析を蛍光ゲルろ過クロマトグラフィーで行い、高次構造を有していることを示した。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までに、セルフリータンパク質合成系で合成した人工タンパク質の機能アッセイ系及び、構造特性を調べる手法を確立した。そこで、これまでに得られている7量体人工膜タンパク質の機能向上変異体の詳細な機能向上メカニズムを明らかにすることを目指す。 進化分子工学に関しては、変異型ライブラリーの調製方法を検討する。具体的には、N末端の配列、膜・水相界面の残基にsaturation mutagenesisを導入したライブラリーを調製する。7h2Lでは、膜・水相界面の残基が機能に大きな影響を与えることが分かっており、更に機能向上した変異体が取得できることが期待される。
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Research Products
(5 results)