2018 Fiscal Year Annual Research Report
The Movement of Genbun'icchi and National Language Policies in Meiji Japan and Their Influences upon East Asia
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17H00895
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
林 少陽 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (20376578)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
陳 力衛 成城大学, 経済学部, 教授 (60269470)
三ツ井 崇 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (60425080)
村田 雄二郎 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (70190923)
岩月 純一 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (80313162)
野平 宗弘 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (80711803)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 明治・清末の「文学」概念 / 言文二致 / ベトナムの「国語」 / 近代の「江戸」表象・認識 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、前年度における「江戸」の見直しという成果を踏まえ、明治の「言文一致・国語施策」を、実際の歴史的出来事のレベルと、言説のレベルにおいて考察した。と同時に明治期における「江戸」表象・認識についての調査を行った。また、言文一致・国語施策」の清末中国・同時代のベトナムとの関連の視点について国際シンポジウム「国語施策/言文一致運動を東アジアの視点から考える」が開かれた(関西大学との共催、2018年12月15日)。ベトナムの「国語」の登場は一九世紀六十年代以来のフランス植民地政策によって推進されたものであるが、日本の「言文一致:国語施策」と漢字圏の共通の書記体体系としての漢文・儒学との関連の解明も推進されたと評価できる。また、近代東アジアにおける漢字廃止論・それと関連する「文学」概念の検討、「国語」と文学との関連の解明についても日本、中国大陸、台湾、アメリカからの学者とともに国際的なワークショップを開いた(2018年7月15日、愛知大学)。そして、清朝官僚・学者と明治の官僚・学者との書簡、筆談などの史料における日本の「言文一致・国語施策」についての議論も調査した。「言文二致」という斬新な概念も漢字圏言文一致問題の新しい視点としても提起され、今後の研究においてさらに解明されることが期待されている。また海外のゲストを呼んで「江戸時代の漢語の日本語化」という題目の講演会なども行われた。査読付きの英語論集Literary Chinese as the Common Enemy: East Asian Written Languages’ National Turn from 19th Century to Early 20th Century(仮題)の原稿も準備しつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
論文集の進捗は予定より若干遅れています。理由は研究が進行される段階において多岐的な方向へと広がっていることが最大の理由でしょう。ただ多岐的に発展されること自体は必ずしも悪いことではないと思います。もう一つの理由は査読付きの英語論集として言葉などの問題をすこし甘く見てしまったことにも由来します。ただし質の高い論文集目標に着実に向かっていることは確実に言えると思います。
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Strategy for Future Research Activity |
今年の7月末に東アジアとアメリカの学者を呼んで最終年度の国際シンポジウムを開き、明治日本と中国との関連・朝鮮半島との関連に力を入れたい。また、今までの国語・言文一致をめぐる研究とと比べて、本研究の大きな特徴の一つは、「方法としての江戸時代」または「方法としての近世」である。今年度こそこの方法論をさらに推進して、明治前の言語状況・書記状況として藩という微視的なレベルにおいても考察を試みたい。と同時に、「方法としての近世」として明清中国の言語的な状況も視野に入れ、中国からの学者を呼びたい。この意欲は日本の歴史学分野にある「近世論」系譜の成果(特に2006年以後復活された新しい「近世論」)とも関連させたいという、やや大胆な試みも実施したい。それとの関連で近代中国の社会史研究分野における成果を現在のテーマにも生かそうと思いながら、英語圏と中国語圏で知られている学者と中国の関連学者を呼びたい。、北朝鮮・モンゴルの「国語」、漢字・漢文との関連についてのワークショップもすでに企画されている。最後に中国語・英語論集の完成もさらに推進させたい。この三年間の成果と今のチームをベースにしながら、この科研のグローバルなさらなる進化と発展として新しいグローバルな科研プロジェクトチームの構成も秋前に準備したい。
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Research Products
(31 results)