2017 Fiscal Year Annual Research Report
海外の研究者との連携による中国・日本における禅思想の形成と受容に関する研究
Project/Area Number |
17H00904
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
伊吹 敦 東洋大学, 文学部, 教授 (20250029)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
何 燕生 郡山女子大学短期大学部, 文化学科, 教授 (00292186)
齋藤 智寛 東北大学, 文学研究科, 准教授 (10400201)
柳 幹康 花園大学, 文学部, 講師 (10779284)
土屋 太祐 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (20503866)
村松 哲文 駒澤大学, 仏教学部, 教授 (30339725)
舘 隆志 東洋大学, 東洋学研究所, 客員研究員 (70771509)
原田 香織 東洋大学, 文学部, 教授 (90227017)
ダヴァン ディディエ 国文学研究資料館, 研究部, 准教授 (90783291)
程 正 駒澤大学, 仏教学部, 教授 (60433752)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 禅文献 / 禅宗史 / 禅思想 / 禅文化 / 国際協力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究プロジェクトは、中国禅を研究対象とする第Ⅰ部会と日本禅を研究対象とする第Ⅱ部会からなるが、第Ⅰ部会は4回の定例研究会を(6月17日、7月29日、12月29日、2月24日)、第Ⅱ部会は5回の定例研究会を開催した(5月20日、9月16日、10月21日、11月18日、1月27日)。定例研究会では、研究代表者のほか、研究分担者の斎藤智寛、原田香織、松浦哲文、何燕生、柳幹康、舘隆志、土屋太祐の各氏、外部からステファン・グレイス氏が発表を行った(定例研究会は全て公開で、インターネット等を通じて広報を行った)。 また、可能な場合には、定例研究会の機会を利用して海外の著名な禅研究者を招聘して公開講演会を開催した。具体的には、10月21日にチューリヒ大学のラジ・シュタイネック氏に「道元と時間論」と題する講演を、また、1月27日に台湾の銘伝大学助理教授の黄青萍氏に「敦煌文献中的北宗禅及其研究価値」と題する講演をお願いした。 更に、東洋大学東洋学研究所と共催の形で二度にわたって国際シンポジウムを開催した。即ち、「東アジアにおける禅仏教の思想と意義」をテーマに開催した「日・韓・中 国際仏教学術大会」(7月1-2日)と「東アジアにおける禅思想の諸相」と題する国際シンポジウム(12月16日)である。特に前者は韓国金剛大学校仏教文化研究所と中国人民大学仏教与宗教学理論研究所との共催で、三箇国の研究者が集い、東アジアの禅宗全般について意見交換を行う大規模なもので、その内容は東洋学研究所から『東アジア仏教学術論集』として刊行されている。 年度末には、本研究プロジェクトの研究活動の成果を社会に還元するとともに、一般から募った論文を掲載する雑誌として『国際禅研究』創刊号を刊行し、内外の研究機関や研究者に配布するとともに、全ての人が自由にアクセスできるように東洋大学学術情報リポジトリへの登録を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度中に第Ⅰ部会で4回、第Ⅱ部会で5回の定例研究会を開催し、研究プロジェクトの研究代表者・分担者のほぼ全員が研究発表を行った。これによって部会毎に二箇月に一回程度、定例研究会を開くという当初の目標はほぼ達成できた。外部の参加者を交えての熱い討論が行われた場合も見られ、禅研究の推進という点で十分な意味を持ったと考えている。また、海外の著名な研究者を招聘しての公開講演会は2回開くことができた。計画よりやや少ないが、初年度で準備不足であったため、ある程度、やむを得なかったと思う。 国際シンポジウムの開催については、7月に韓国と中国の研究者を招聘して「東アジアにおける禅仏教の思想と意義」をテーマに「日・韓・中 国際仏教学術大会」を開催し、12月に香港と台湾から若手研究者を招聘して小規模な国際シンポジウム「東アジアにおける禅思想の諸相」を開催した。これによって、世界の禅研究者の結節点を形成するため、毎年、大規模なシンポジウムを含む複数回の国際シンポジウムを開催するという当初の目標をかろうじて達成することができた。ただ、初年度で準備が十分でなく、二回ともはっきりとしたテーマを提示できず、取りあえず人を集めたといった感じになってしまったのは遺憾である。また、招聘した研究者が東アジアの国々に偏っている点も問題であり、今後、これらの点を修正してゆく所存である。 年度末には、本プロジェクトが主催したシンポジウム、講演会、定例研究会等での発表内容や投稿論文等を掲載する『国際禅研究』創刊号を刊行・配布し、同時に東洋大学学術情報リポジトリにも登録して自由に閲覧できるようにした。これも計画通りであるが、編集の都合上、2017年の11月以降に開催したシンポジウムや講演会の発表内容は含まれていない。これらを平成30年度刊行の『国際禅研究』第2号以下に持ち越さざるをえなかったことは遺憾である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度の研究実績を踏まえ、今後の研究の推進方策として以下のものを考えている。 1.国際シンポジウムの活性化のために、先ず、明確なテーマを策定し、そのテーマに相応しい内外の研究者を招聘するよう心がける。具体的に考えているテーマとしては、第Ⅰ部会関係では、a.禅の起源の解明、b.禅問答と語録成立の意義、c.近現代における禅の意義、第Ⅱ部会関係では、a.道元思想の特徴と評価、b.兼修禅の実態と評価、c.近現代における禅の意義、等があり、順次、こうした個別の問題について討論を行い、今後の研究に指針を与えるような活動をするよう心がけたい。 2.禅研究をめぐる国際交流の推進のためには、海外の研究機関との連携が不可欠であるから、今後、この方面での活動を活発化して、平成29年度に国際シンポジウムを共催した金剛大学校仏教文化研究所(韓国)、中国人民大学仏教与宗教理論研究所以外にも提携関係を拡大し、禅研究をめぐる国際交流の多様化を考えていきたい。 3.平成29年度のシンポジウム・講演会等での発表原稿で刊行を待っているものが既に数本存在し、平成30年度も研究活動に伴い、十本近い原稿が集まるものと考えられる。そのため、これらを公表するために『国際禅研究』の刊行を年二回に増やす方向で検討している。 4.世界各地の若手の研究者で禅を学ぶために日本に留学している人たちが相互に交流できるような発表会を開催することを検討している。こうした活動は、今後も禅研究で日本が世界の中の主導的な役割を果たすために不可欠だと思う。
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Research Products
(55 results)