2018 Fiscal Year Annual Research Report
海外の研究者との連携による中国・日本における禅思想の形成と受容に関する研究
Project/Area Number |
17H00904
|
Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
伊吹 敦 東洋大学, 文学部, 教授 (20250029)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
何 燕生 郡山女子大学短期大学部, その他部局等, 教授 (00292186)
齋藤 智寛 東北大学, 文学研究科, 准教授 (10400201)
柳 幹康 花園大学, 文学部, 准教授 (10779284)
土屋 太祐 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (20503866)
村松 哲文 駒澤大学, 仏教学部, 教授 (30339725)
程 正 駒澤大学, 仏教学部, 教授 (60433752)
舘 隆志 東洋大学, 東洋学研究所, 客員研究員 (70771509)
原田 香織 東洋大学, 文学部, 教授 (90227017)
ダヴァン ディディエ 国文学研究資料館, 研究部, 准教授 (90783291)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 禅宗史 / 禅文献 / 禅思想 / 禅文化 / 国際交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
本プロジェクトは、中国禅を研究対象とする第Ⅰ部会と日本禅を研究対象とする第Ⅱ部会からなるが、平成30年度は、第Ⅰ部会は3回の定例研究会(9月22日・11月17日・12月22日)を、第Ⅱ部会は2回の定例研究会(6月16日・10月13日)を開催した(いずれも一般に公開)。定例研究会では、研究代表者の伊吹敦のほか、研究分担者の程正氏、齋藤智寛氏、ダヴァン・ディディエ氏らが研究発表を行った。また、これらの定例研究会のうち、6月16日、9月22日の定例研究会では、この機会を利用して海外の研究者の招聘を行い、国際シンポジウムの形式で開催した。具体的には、6月16日の定例研究会では、ダヴァン・ディディエ氏に加えて、フランスの二人の学者(フレデリック・ジラール、張超)をお招きして「フランスの研究者による禅研究」と題する国際シンポジウム、9月22日の定例研究会では、程正氏に加えて、中国から定源氏をお招きして「初期禅宗研究の最前線」と題する国際シンポジウムを開催した。 これとは別に、国内外の研究機關と共催の形で、次に掲げるような二つの大規模な国際シンポジウムを開催した。 1.武漢大学国際禪文化研究センター設立記念国際シンポジウム「Chan・Zen・Seon:禅的形成及其在世界的展開」(5月4日、武漢大学、武漢大学との共催) 2.第1回道元研究国際シンポジウム「世界の道元研究の現在」(7月21日・22日、東洋大学白山キャンパス、駒澤大学禅研究所・東洋大学東洋学研究所と共催) また、上記の定例研究会、国際シンポジウムでの発表内容を中心に、研究プロジェクト内外の研究者の投稿論文をも集録した本研究プロジェクト編集の学術雑誌、『国際禅研究』第2号を刊行した(2018年10月、全256頁)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は、大規模な国際シンポジウムを2回、小規模な国際シンポジウムを2回開催することができたので、少なくともこの点では、当初の計画を超える実績を挙げることができた。そのうち、中国の武漢大学で武漢大学国際禅文化研究センターと共催した国際シンポジウム「Chan・Zen・Seon:禅的形成及其在世界的展開」では、本研究プロジェクトの構成員の大部分が発表を行うとともに、国内から二人(朝倉友海、井上克人)、韓国から四人(崔鈆植、朴海鐺、朴仁錫、朴永煥)を招聘するなど、中心的な役割を果たした。また、東洋大学を会場に駒澤大学禅研究所、並びに東洋大学東洋学研究所と共催した国際シンポジウム「世界の道元研究の現在」では、アメリカから二人(ウィリアム・ボディフォード、ゲオレン・コプフ)、ヨーロッパから三人(フレデリック・ジラール、ラジ・シュタイネック、アルド・トリーニ)、韓国から一人(柳済東)、日本から三人(竹村牧男、石井清純、頼住光子、何燕生)を招聘して最新の研究成果を発表してもらい、世界の道元研究において多様なアプローチが行われていることを明示することができた。このシンポジウムは大変な反響を呼び、連日、百数十人の聴衆がおし寄せ、また、宗教関係の新聞に大きく取り上げられた。 一方で問題点があったことも認めねばならない。一つは定例研究会の開催回数が、当初の目標に達しなかったということである。研究分担者の発表が一巡したこともあるが、国際シンポジウムの開催が頻繁であったことが大きかった。もう一つは、『国際禅研究』の刊行が第2号のみに止まったということである。国際シンポジウムに費用が嵩んだため、次年度以降の予算の前倒しを行ったが、それでも第3号の刊行は次年度に持ち越された。 以上、いくつかの問題点はあったものの、全体を振り返るとき、おおよそ当初の計画に沿った実績を挙げることができたと判断している。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成30年度の研究実績を踏まえ、今後の研究の推進方策として以下のものを考えている。 1.今年度までには行えなかった重要なテーマについて国際シンポジウムを開催する。具体的には、第Ⅰ部会に関しては、a.禅の起源の解明、b.禅問答と語録・公案の成立と意義、c.明清時代における禅の意義、c.近現代における禅の意義、等であり、また、第Ⅱ部会に関しては、a.兼修禅の実態と評価、b.近世における禅宗の存在意義、c.近現代における禅の意義、c.欧米への禅の伝播とその意義、等である。ただ、時間的・経費的・能力的限界があるので、これらのテーマの中から条件の調ったものから順次実施してゆく予定である。 2.本年度、国際シンポジウムを多数開催したため、その際の発表内容を元にした多くの論文が寄せられている。これらを全て公表するために、少なくとも来年度は『国際禅研究』を二冊刊行しなくては間に合わない。経費がかかるが、何とかやりくりして実現してゆくつもりである。 3.シンポジウム開催と『国際禅研究』刊行以外では、禅宗研究のために日本に留学中の外国人留学生が交流できる機会を設けることができないか検討してゆきたい。また、日本の今後の禅研究のために、禅研究の意義を広く社会に知らしめる書籍が刊行できないかについても検討を始めたい。
|
Research Products
(66 results)