2017 Fiscal Year Annual Research Report
神仏融合から見た日本の宗教・思想とアジアの比較研究―分野横断による人文学の再生―
Project/Area Number |
17H00906
|
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
吉田 一彦 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 教授 (40230726)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
脊古 真哉 同朋大学, 仏教文化研究所, 客員所員 (20448707)
荒見 泰史 広島大学, 総合科学研究科, 教授 (30383186)
藤原 崇人 関西大学, 付置研究所, 研究員 (50351250)
上島 享 京都大学, 文学研究科, 教授 (60285244)
二階堂 善弘 関西大学, 文学部, 教授 (70292258)
曽根 正人 就実大学, 人文科学部, 教授 (70368695)
伊藤 聡 茨城大学, 人文社会科学部, 教授 (90344829)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 日本思想史 / 神仏習合 / 仏教史 / 神信仰 / 道教 / 宗教儀礼 / 文化交流 / アジア宗教 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は3回の研究会を実施し、4回の国内調査、1回の海外調査を実施して多くの知見を得ることができた。研究会(神仏融合研究会)は、6月10日に名古屋市立大学にて開催し、①高橋早紀子「毘沙門天脚下の女神と二鬼」、②高井龍「敦煌における仏教と儒教」、③山田明広「台湾南部地域の道教斎」、④脊古真哉「伽藍神考」が報告された。ついで、7月9日に名古屋市立大学にて開催し、⑤高志緑「水陸斎と水陸画」、⑥関山麻衣子「神のための写経」、⑦水越知「中国近世の祠廟祭祀と仏教」、⑧荒見泰史「神仏理解と神仏融合の差異から見た東アジア宗教」が報告された。さらに12月17日にキャンパスプラザ京都(京都大学教室)において、⑨高橋早紀子「甘粛省・陝西省石窟寺院のスライド検討」が報告された。 国内調査では、2月21~22日に浜松市の調査を行ない、宝林寺の二十四善神立像、天白磐座遺跡、奥山方広寺、龍潭寺、井伊谷宮、村々のガラン堂などを調査した。ついで、2月28~3月1日に京都市の赤山禅院、崇道神社、貴船神社、大将軍八神社、鞍馬寺、由岐神社などを調査した。ついで3月7~8日に東大寺修二会の調査を行ない、日中の勤行、数取懺悔、初夜上堂、初夜の勤行、大導師作法、呪師作法、半夜の勤行、後夜の勤行、小観音後入、大導師作法、呪師作法、晨朝の勤行などを見学した。ついで、3月13~15日に長崎市、佐世保市の調査を行ない、崇福寺・同媽祖堂、興福寺・同媽祖堂、唐人屋敷跡の土神堂・天后堂・観音堂、出島オランダ商館跡、日本二十六聖人殉教地、福済寺、聖福寺、孔子廟、三川内焼美術館などの調査を行なった。海外調査では、中国甘粛省・陝西省の石窟寺院の調査を行ない、炳霊寺石窟、水簾洞石窟群、麦積山石窟、大像山石窟、仙人崖、法門寺、王母宮石窟、南石窟寺、北石窟寺、慈善寺石窟、大仏寺石窟、碑林博物館などの調査を実施した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた研究会、国内調査、国外学術交流、国外調査を実施することができ、研究はおおむね順調に進展している。今年度の大きな成果は、2017年9月に甘粛省・陝西省の石刻を調査し、さらにその結果を整理して研究会全体で知見を共有したことである。これは中国における仏教の伝来と展開、そして宗教の複合、混合、融合を考える重要な題材になるものと考えられる。 また、国内調査によっても大きな知見を得ることができた。浜松市、京都市北部、長崎市の調査においては、日本における宗教の複合、混合、融合の様相を種々の角度から実見することができ、大きな知見を得ることができた。 研究代表者は科研による研究の成果を学会で報告し、調査報告、論文を執筆した。研究分担者も成果を報告し、論文を執筆した。成果の発表はおおむね順調である。また、研究会を通じて国内外の研究者と学術交流し、知見を共有することができた。さらに、打ち合わせ会において、研究チームで研究の進捗状況を確認し、来年度の研究計画の詳細を構築し、研究成果の発信について論議することができた。 研究成果の発信については、現在企画、執筆が進んでいる6冊ものの日本宗教史のシリーズ(吉田一彦編集代表、吉川弘文館刊行予定)に研究成果の一部を盛り込むこととしている。それとは別に、名古屋大学出版社からアジアにおける仏教と神信仰の融合に関する学術論文集を刊行する計画を進めており、本年度はそれに向けて研究会において詳細な準備報告と討論をすることができた。 以上のように、研究会、打ち合わせ会、国内外調査、出版計画などが予定に従って進んでおり、研究はおおむね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成29年度の研究計画をおおむね順調に実施することができたので、平成30年度は研究計画の大きな変更はなく、予定に従って研究を進めていく所存である。ただ、部分的には、思ったよりも研究が進んだ部分と、次年度まわしにした部分とがあるので、30年度にはそれらを調整しながら前に進んでいく必要がある。そのため、打ち合わせ会の時間を十分にとり、研究代表者と研究分担者、さらに研究協力者の意向を確認し、意見交換を密にして、情報を共有しながら研究を進めていく。 平成30年度は、国外調査では、懸案であったインドの仏教遺跡の調査を実施する計画が進んでおり、仏教が地域の神信仰と融合する様相を、そのおおもとにおける形態にまでさかのぼって探究する予定である。国内調査では、これも懸案であった鎌倉の調査を実施して、神仏の複合、混合、融合に関する史料を実見し、資料収集したいと計画している。 科研研究の成果については、学術雑誌等に研究成果をまとめた調査報告、論文を執筆し、発信する。さらに公開シンポジウムの実施に向けて、テーマの確立と明確化、パネラーの選定などの準備計画を進め、研究代表者、研究分担者、研究協力者がパネラーおよび司会を務めるパネルシンポジウムを準備する。これを公開のセミナーとして、研究成果を研究者および市民に発信する予定である。それの計画を構築する。
|
Research Products
(26 results)