2019 Fiscal Year Annual Research Report
神仏融合から見た日本の宗教・思想とアジアの比較研究―分野横断による人文学の再生―
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17H00906
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
吉田 一彦 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 教授 (40230726)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
脊古 真哉 同朋大学, 仏教文化研究所, 客員所員 (20448707)
荒見 泰史 広島大学, 総合科学研究科, 教授 (30383186)
藤原 崇人 龍谷大学, 文学部, 准教授 (50351250)
上島 享 京都大学, 文学研究科, 教授 (60285244)
二階堂 善弘 関西大学, 文学部, 教授 (70292258)
曽根 正人 就実大学, 人文科学部, 教授 (70368695)
伊藤 聡 茨城大学, 人文社会科学部, 教授 (90344829)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 東洋・日本思想史 / 仏教史 / 宗教史 / 神仏習合 / 文化交流 / 文化の特質 / 宗教思想 / 宗教儀礼 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は3回の研究会、5回の国内調査、1回の海外調査を実施した。研究会(神仏融合研究会)は、第1回は5月11日に名古屋市立大学にて、①浅岡悦子「台湾中部の媽祖遶境進香――現地調査報告――」、②松尾恒一「明清転換期、東シナ海・南シナ海への海賊・海商の進出と媽祖信仰――歴史と伝承――」。第2回は6月22日に名古屋市立大学にて、①脊古真哉「箱根神社蔵「万巻上人像」をめぐって」、②吉田一彦「エロ―ラ石窟仏教窟の神仏融合――スライド検討会――」。第3回は2月22日に名古屋市立大学にて、①曾根正人「因果応報教説としての仏教とその東流」の研究発表と討論を行なった。 国内調査では、7月に石川県の気多大社・神宮寺、明泉寺などの調査、9月に奈良県の春日山石窟仏、地獄谷石窟の調査、10月に兵庫県北播磨地区の古法華石仏、広渡寺廃寺、浄土寺、酒見寺・住吉神社、一乗寺などの調査、1月に三重県の石山観音磨崖仏、中之瀬磨崖仏、新大仏寺などの調査、2月に大分県の大分県立博物館、宇佐八幡宮、富貴寺、元宮磨崖仏、真木大堂、熊野磨崖仏、天念寺、岩戸寺、臼杵磨崖仏などの調査を実施した。 国外調査では、9月に中国の敦煌の莫高窟、楡林窟、西千仏洞などを調査し、あわせて敦煌研究院と学術交流を行なった。あわせて研究分担者の荒見泰史が学会(中華炎黄文化研究会童蒙文化委員会)にて基調報告を行なった。これらを通じて敦煌における神仏の融合、複合、重層について多くの知見を得た。 さらに、この科研研究の研究成果の公表について、名古屋大学出版会と具体的な内容、刊行計画について詳細に打ち合わせを行ない、秋に原稿をとりまとめて、科研の研究成果公開促進費に申請した。これによって次年度に研究成果を発信する計画を進展させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた研究会、国内調査、国外学術交流、国外調査については、年度末の3月の計画を除いて(感染症流行による)ほぼ実施することができ、研究はおおむね順調に進展している。今年度の大きな成果は、2019年9月に敦煌の石窟を調査し、敦煌における神仏の複合、融合について多くの知見を得、現地において資料を眼前にして議論し、また敦煌研究院の先生方と意見交換できたことである。また、国内調査に関しても多くの知見を得ることができた。特に北播磨や大分の神信仰と仏教との融合について理解を深めることができ、また日本の石刻や石窟についても理解を深めることができた。 研究代表者、研究分担者は成果を学会等で発表し、論文を執筆した。研究会や調査を通じて内外の研究者と学術交流することができ、多くの知見を得た。なお、打ち合わせ会において、研究チーム全体で研究の進展状況について確認し、来年度の研究計画や、研究成果の発信の具体像などについて論議することができた。 研究成果の公開については、原稿のとりまとめが進展している『日本宗教史』(全6冊、吉田一彦編集代表、吉川弘文館刊行予定)に研究成果の一部を盛り込むこととしている。あわせて、『神仏融合の東アジア史』と題する学術書(論文集)を名古屋大学出版会から刊行する計画が進展し、原稿のとりまりまとめを行なうことができた。これにより、次年度にこれらの書物を刊行する予定が整った。 以上のように、研究会、打ち合わせ会、国内外調査、出版計画などが予定に従って進んでおり、研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度の研究計画については、おおむね順調に実施することができた。しかしながら、2年度の研究計画に関しては、新型コロナウィルス感染症の世界的流行が継続している現状では、いくつかの変更を余儀なくされるものと考えている。この問題に対処するため、オンラインによる打ち合わせ会を行なって、研究代表者と研究分担者、研究協力者の研究の進展状況を確認し、意見交換を密なものにし、メンバーで情報を共有しながら、研究計画の変更や臨機応変の事態への対処を行なっていく。 2年度の研究計画として当初は、研究会、国内調査、国外調査、国際シンポジウムなどを実施する予定をたてていた。しかし、研究会はオンラインで実施することを考えており、国内調査は事態の推移を見ながら可能な範囲で実施したいと考えている。国外調査、国際シンポジウムに関しては、慎重に事態の推移を観る必要があると考えている。 なお、科研研究の成果の公開については、原稿が順調に集まっており、予定通り学術書の刊行を実施する計画である。
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Research Products
(21 results)