2018 Fiscal Year Annual Research Report
近世狩野派を中心とした図様継承と絵画制作システムに関する研究
Project/Area Number |
17H00908
|
Research Institution | Tokyo National Museum |
Principal Investigator |
田沢 裕賀 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部, 部長 (80216952)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松嶋 雅人 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部, 調査研究課絵画・彫刻室 (10321548)
瀬谷 愛 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部, 主任研究員 (50555133)
大橋 美織 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部, 研究員 (10584477)
土屋 貴裕 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸企画部, 主任研究員 (40509163)
山本 英男 独立行政法人国立文化財機構京都国立博物館, 学芸部, 特任研究員 (10200833)
福士 雄也 独立行政法人国立文化財機構京都国立博物館, 学芸部美術室, 研究員 (50747334)
山下 善也 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部文化財課, 主任研究員 (40463252)
畑 靖紀 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部文化財課, 主任研究員 (80302066)
安藤 香織 公益財団法人徳川黎明会, 徳川美術館, 学芸員 (20555031)
彬子女王 京都産業大学, 日本文化研究所, 研究員 (20571889)
五十嵐 公一 大阪芸術大学, 芸術学部, 教授 (50769982)
並木 誠士 京都工芸繊維大学, デザイン・建築学系, 教授 (50211446)
塚本 麿充 東京大学, 東洋文化研究所, 准教授 (00416265)
鎌田 純子 帝京大学, 文学部, 准教授 (60390746)
加藤 弘子 都留文科大学, 文学部, 非常勤講師 (70600063)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 日本・東洋美術史 / 東アジア絵画 / 狩野派 / 粉本 / 模写 / 教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)狩野派以外の絵師によって制作された模本を含む東博所蔵模本類の収蔵時期並びに経路、また個々の伝来情報を調査し、本研究に該当する狩野派制作による模本の抽出作業を進め、「狩野派伝来目録原稿」を参照しつつ、原本作者ごとに、画題、原図筆者、模写者、制作時期、原本の伝来等、研究に必要な項目を記録する調査と撮影を行うとともに、データベース化のための法量の計測、留書など模本類に記載された文字の翻刻作業を行った。調査撮影件数1077点。 (2)研究会(平成30年8月23・24日)を開催し、上記の指針をもとに、将来データベースを構築するための基本方針を検討し、分担者からの希望による模本調査と撮影を行い、相互に知見を交換した。これにより、原本の存在が確認されたもの、また特定の寺院の宝物を模写したものが確認されるなどの知見を得ることができた。 (3)イタリア所在の江戸時代絵画調査(平成31年2月28日から3月10日)を行い、ヴェネツィア東洋美術館で、エンリコ・カルロ・ディ・ボルボーネ(バルディ伯)旧蔵作品調査、ブレーシア市博物館で駐日イタリア公使アレッサンドロ・フェ・ドスティアーニ旧蔵作品調査を行い、写真撮影を行うとともに、同館に関連作品に関する情報の提供を行った。ヴェネツィア東洋美術館の収蔵品には、コレクターの武将趣味が反映しており、武者絵が多く含まれていた。これまで未公開であった作品を含む調査を行い、同一画題の作品が同様の姿型を踏襲して制作されていることを確認することができた。また、時代の下がる合戦物語を絵画化した作品の中には、物語のストーリーを忘れ、粉本によって形のみ写される実例を確認することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の調査研究により、東京国立博物館所蔵模本類の中から、調査対象作品を選別することと、データベース化を目指した調査方法が確立されたことにより、作品調査・撮影を順調に進めることができた。本年度の調査撮影件数は1077点(824件)である。分担者それぞれの研究は、着実に進展しており、研究会での意見交換によってその確認をすることができた。一方、分担者の人数が多いため日程調整が難しく、2回を予定していた研究会は1回に止まり、関西方面の調査の実施も中止となった。ただし、イタリアのブレーシア市博物館に幕末の谷文晁系の画家である喜多武清一派の下絵、粉本等が所在することがわかり、その調査をすることができた。また、ヴェネツィア東洋美術館に『平家物語』に題材を得た武者絵が多いことがわかり、現地においてその比較をすることで、粉本による絵画制作の実例を明らかにし、海外で、江戸時代絵画制作のシステムを紹介することができるなど研究の進展と普及活動を行うことができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後も近世絵画の制作システムに関する研究は、研究代表者、分担者でそれぞれ継続的に進めていく。なかでも、本研究の中核をなす東京国立博物館所蔵の模本 から江戸時代木挽町狩野派の模本を選別する作業を進め、今後もデータベース化を目指して、デジタル撮影、データ整理作業、古文書解読などの調査を継続して 行う。それと平行して、狩野派に限らず、全国的な規模での御用絵師に関する作品情報を収集し、その調査を行う。また、これまでの現存する関連作品情報の調 査に基づき実作品調査を積極的に進めていく。また、定期的に研究総括のための研究会を開催する
|
Research Products
(7 results)