2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17H00935
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
大津留 厚 神戸大学, 人文学研究科, 名誉教授 (10176943)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴 理子 城西国際大学, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (10337769)
桐生 裕子 神戸女学院大学, 文学部, 准教授 (10572779)
野村 真理 金沢大学, 経済学経営学系, 教授 (20164741)
家田 修 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授(任期付) (20184369)
篠原 琢 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (20251564)
佐藤 雪野 東北大学, 国際文化研究科, 准教授 (40226014)
馬場 優 福岡女子大学, 国際文理学部, 准教授 (40449533)
柴 宜弘 城西国際大学, 国際人文学部, 教授 (50187390)
辻河 典子 近畿大学, 文芸学部, 講師 (50724738)
森下 嘉之 茨城大学, 人文社会科学部, 准教授 (60589042)
飯尾 唯紀 東海大学, 文化社会学部, 准教授 (80431352)
村上 亮 福山大学, 人間文化学部, 講師 (80721422)
ボシティアン ベルタラニチュ 城西大学, 現代政策学部, 准教授 (80752120)
米岡 大輔 中京大学, 国際教養学部, 准教授 (90736901)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 東欧近現代史 / 第一次世界大戦 / 大戦間期 / ハプスブルク帝国 / 民族国家 |
Outline of Annual Research Achievements |
1939年9月4日、アメリカ合衆国の週刊誌『タイム』はその前の週の9月1日にドイツ軍がポーランドに侵攻したのを受けて、「第二次世界大戦が始まった」と報じた。この時、「その前の戦争」が第一次世界大戦の名を与えられることになったと言える。その意味での第一次世界大戦が始まるきっかけになったのは、ハプスブルク家を君主とする諸領邦が最終的に名乗ったオーストリア=ハンガリーが、隣国セルビアに対して、ハプスブルク君主の継承者の暗殺の責を問うて宣戦を布告したことにあった。そしてその戦争を終えるための講和会議が開かれた時、すでにこの国は講和会議に代表される存在であることを止めていた。したがってこの戦争はこの国にとっては「最後の戦争」に他ならなかった。 1914年からあるいはその前から始まった、ヨーロッパを主な戦場とする戦争を何と呼ぶのか、これがそれから100年経ったときに問われている。そして呼び方の問題はその戦争の継続した期間の捉え方と関係し、またその後の世界の把握の方法とも関係している。本科研ではセルビア共和国の代表的な現代史研究者ミラン・リストヴィッチ教授を招き、また研究代表者がウィーンで開催された1918年の持つ意味を再考するシンポジウムに参加して国際的な研究動向を踏まえながら、分担者がそれぞれ研究を進めてきた。 その成果は2019年5月に静岡大学で開催される西洋史学会の小シンポジウムで発表されることになる。そこでは研究代表者が趣旨説明を行い、「国境の画定」、「制度的連続性と断絶」、「アイデンティティの変容」それぞれの班から報告が行われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1918年-19年像の再構築を目指した本科研が発足したあとで、1917年、1918年の100年目の節目に国際的に数多くの研究が出されることになった。特に2017年には1917年の100年目として、1914年に始まる戦争が1917年に大きく構造転換することが論じられるようになった。ロシア革命が起こり、アメリカ合衆国が参戦して陣営の構造が大きく変わっても、これまでは1918年に終結する戦争の一つのプロセスとしてとらえられていた。しかしそこで構造転換した「戦争」はほぼ1923年ころまで続くことになる。そして中央ヨーロッパの混乱は「内戦」としてこの「戦争」を構成する重要なファクターとなった。本科研はこの「戦争」とその後のこの地域の変動を時間的に緩やかに見て、その前と後で何が変わり、何が変わらなかったのかを具体的に考えていこうとするもので、この「戦争」自体の捉え方の新しい見方と共鳴するものであり、研究の進展に弾みがつくようになった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進は以下の4点で行われる。 ①研究代表者は中・東欧におけるこの「戦争」の帰結として考えられてきたハプスブルク帝国の崩壊に関して、新たな視点から論じた図書を刊行する。 ②2019年5月に静岡大学で開催される西洋史学会で小シンポジウムを開催し、これまでの成果を報告する。 ③「国境の画定」、「制度的連続性と断絶」、「アイデンティティの変容」のそれぞれの班が研究を深めると同時に、全体の研究会を行い、共通の認識を深め、本研究の成果を公刊するための準備を進める。 ④ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジ歴史学科のデヤン・ジョキッチ(Dejan Djokic)教授からを教授を招き、引き続き国際的な研究動向との接続を図る。
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Research Products
(22 results)