2019 Fiscal Year Annual Research Report
データサイエンスのアプローチによる金融リスク管理とその波及メカニズムに関する研究
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17H00983
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
羽森 茂之 神戸大学, 経済学研究科, 教授 (60189628)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有木 康雄 神戸大学, 都市安全研究センター, 名誉教授 (10135519)
金京 拓司 神戸大学, 経済学研究科, 教授 (50527637)
滝口 哲也 神戸大学, 都市安全研究センター, 教授 (40397815)
辻 隆司 愛知大学, 経済学部, 教授 (00626905)
田中 克幸 神戸大学, 経済学研究科, 経済学研究科研究員 (80448167)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 金融リスク / 波及メカニズム / リスク管理 / データサイエンス / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究実績に関して、18編の論文が学術専門誌から採択・出版され(その中の13編は国際共著論文)、5件の国際学会での研究報告を行った。さらに、研究成果をまとめた英文研究書を海外の学術出版社から2冊出版した。 主な研究概要は以下のとおりである。(a)世界の17,230,157社の財務データをもとに、機械学習の分析手法を用いて企業の倒産確率モデルを提示し、国単位及び産業単位の危険度を示すことに成功した。特に、「予想損失」と呼ばれる新しい指標を用いて、産業経済活動の脆弱性を分析する方法を提案した点はこれまでの研究にない特徴といえる。この研究成果は、Economic Inquiryから採択・出版された。(b) データがランダムに欠落しているセミパラメトリックコピュラモデルの新たな推定方法を提案した。 特に、観測されたグループとグループ全体の間の共変量の経験的モーメントのバランスをとることにより、ノンパラメトリック周辺分布と対象のコピュラパラメーターのキャリブレーション推定量を提案した。この研究成果は、Journal of Multivariate Anlysisから採択・出版された。(c)国際商品市場における各商品指数の収益率の間の共変動と因果関係について、ウェーブレットコヒーレンス分析を用いて時間領域と周波数領域の双方において分析を行うことを提案し、各商品価格間の因果関係がさまざまな頻度で時間とともに変化することを明らかにした。さらに、混合ポートフォリオは中期的に分散効果をもたらすことを明らかにした。この研究成果は、Empirical Economicsから採択・出版された。 海外の研究者とのネットワーク構築を積極的に推進し、Journal of Risk and Financial ManagementとEnergiesのSpecial Issueの編集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究面に関しては、国際学術誌のSpecial Issueの編集、国際学術雑専門誌への論文の出版及び投稿、国際カンファレンスでの研究報告等、順調に進んでいる。 海外の研究者とのネットワークの構築に関しては、当初の予想以上に進んでおり、世界的に一定の評価を得ることのできるプロジェクトとなりつつある。さらに、若手研究者の育成及び実務家との連携に関しても順調に進んでおり、一定の効果がでてきている。
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Strategy for Future Research Activity |
1.本研究プロジェクトを遂行するために、様々な角度から、データを集積する。特に、既存研究のさらなる調査を通じて、新たな研究の可能性について探索を行う。 2.研究代表者・研究分担者の間で、定期的にメンバーの会合を兼ねた研究会を開催し、各グループの研究の進捗状況をメンバー間で共有する。 3.本研究の関連分野で活躍している内外の研究者を招聘し、ワークショップを開催し、最新の研究動向の把握を行うとともに共同研究拡大の契機とする。また、プロジェクトの性格上、実務家からも積極的な協力関係を得られるようにしたい。 4.若手研究者の育成を推進する。 5.本プロジェクトを通じて得られた研究成果を国内外のカンファレンス等で積極的に研究報告を行う。また、そこで得られたコメントを基に論文の修正を行い、その学術成果を海外の学術専門誌に投稿する。
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Research Products
(27 results)