2020 Fiscal Year Annual Research Report
Global Production Network and Industrial Agglomeration
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17H00986
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
古澤 泰治 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (80272095)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉田 洋一 一橋大学, 大学院経済学研究科, 准教授 (20743719)
冨浦 英一 一橋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (40273065)
村田 安寧 日本大学, 経済学部, 教授 (40336508)
石川 城太 一橋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (80240761)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | グローバル・バリュー・チェーン / 定量的一般均衡貿易モデル / 国際ジャーナル / 移転価格規制 / 日本企業のミクロデータ / 企業内貿易 |
Outline of Annual Research Achievements |
グローバル生産ネットワークの進展が経済に与える影響に関して、をさまざまな角度からの分析が進み、国際ジャーナルへの論文公刊を通じて研究成果を広く公表した。 具体的には、研究代表者が研究分担者である杉田洋一氏と行なってきたグローバル・バリュー・チェーンの定量分析の一成果がThe International Economyに公刊されたことが挙げられる。その研究では、新興経済国の経済成長がグローバル生産ネットワークを通じて他国に与える影響を測ることのできる定量的一般均衡貿易モデルを定式化し、モデル推計に関する手法を開発し、これからの同様の分析の基礎を作り出した。 また、研究分担者である村田安寧氏が海外研究者と行なってきた研究成果が、経済学のトップ5の一つであるQuarterly Journal of Economicsに掲載された。この研究は、生産ネットワークの拡充は市場の歪みによる厚生損失を大きく増大させるという重要な結論を導いた。 グローバル生産ネットワークの経済分析の周辺テーマの分析も進んだ。研究代表者と分担者である石川城太氏と海外研究者との共同研究は、グローバル生産ネットワークの形成に大きな影響を与える移転価格規制について理論的に分析し、小国が低い法人税を課し多国籍企業を誘致する状況を理論化した。また、石川城太氏は共著者とともに、輸送費と貿易政策との関係について、理論面と実証面の双方から分析し、輸入完全の低下が、輸入の増加を通じて輸出輸送費を低下させることを発見した。そして、研究分担者である冨浦英一氏は、日本企業のミクロデータを用いて、グローバル生産ネットワークで重要な位置を占める企業内貿易が親会社と海外子会社の空間的距離にどう影響されるかについて実証研究を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究テーマである「グローバル生産ネットワークと産業集積」の分析基礎となる定量的一般均衡貿易モデルを構築し、モデル推計に関わる重要な手法を開発できたのは、非常に大きな前進と言える。また、周辺テーマについても、トップ水準の国際ジャーナルへの論文公刊が進み、順調に研究が推移している。 中心的課題、周辺的課題の双方で、当研究組織内での共同研究が進んでいるのも当初の予定通りである。また、研究代表者、研究分担者の全員が、組織外の特に海外研究者との共同研究を同時に進めていることも、研究に深みを増すことに貢献している。 こうしたことから、現在まで、グローバル生産ネットワークの進展の経済効果について、多くの知見が蓄積されてきた。例えば、新興国の発展は、国によって生産性の向上による場合と品質の向上を達成した場合の双方が存在するが、いずれにせよ、他国の交易条件を大きく変化させるほどのインパクトは与えていないことがわかった。また、グローバル生産ネットワークは、市場の歪みによる厚生損失の大きさにも大きな影響を与えることも明らかにした。 ただし、コロナ感染症の拡大が研究の進展を阻害している面はある。特に海外研究者との交流は大きく後退せざるを得ない状況にあり、研究の進捗を阻んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も計画通り、研究代表者と研究分担者が共同で中心となる課題と周辺課題について、研究を進めていく。海外研究者との共同研究も引き続き推進していく。ただし、コロナ前のように海外から研究者を招聘したり、こちらから海外に出かけ共同研究の打ち合わせをしたりするのは難しいため、主にオンラインで共同研究等を進めていくことになる。 本年度に構築が進んだ定量的一般均衡貿易モデルを駆使し、グローバル生産ネットワークと産業集積に関する様々な問題について、引き続き定量分析を中心に研究を進めていく。
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Research Products
(17 results)