2017 Fiscal Year Annual Research Report
Agglomeration and spatial economy: Reconstruction of theoretical and empirical framework
Project/Area Number |
17H00987
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森 知也 京都大学, 経済研究所, 教授 (70283679)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤松 隆 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (90262964)
高山 雄貴 金沢大学, 環境デザイン学系, 准教授 (90612648)
大澤 実 東北大学, 工学研究科, 助教 (50793709)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 経済理論 / 経済政策 / ハイパフォーマンス・コンピューティング / 都市経済学 / 集積の経済学 |
Outline of Annual Research Achievements |
1) 本研究における理論基礎として、経済集積規模・空間配置と輸送費の関係に関する既存の経済集積理論モデルを網羅し一般化した多地域モデルの挙動を理論的に整理し、ディスカッション・ペーパーとして公表した。この研究では、既存の2地域経済モデルの下で輸送費の低下が、経済立地の分散→集積(一極集中)→再分散(地方の再生)の変化を起こすと論じてきたのに対し, 多地域経済では, 輸送費の低下過程の最初に起こるのは, 集積が小規模化・多数化し広範囲に散らばる「大域的分散」, 最後に起こるのは, 地方の再生ではなく, 既存集積の空間規模が拡大する「局所的分散」であり, それらが本質的に異なることを, 既存の理論モデル群に共通の一般的性質として解析的に示した。 2) 多地域・他産業経済における経済集積パターンの秩序形成について、経済集積モデルの内, 解析可能性の高いPflueger (2004)モデルを多地域・多産業に拡張し, 大型計算機で用いる並列プログラムを最適化し, 一年を通して基本パラメタ設定下で安定均衡のブートストラップ標本を蓄積した。具体的には、均衡における都市の規模・空間配置を特徴づける経済の産業構造は, Broda and Weinstein (2006)が米国データから推定した, 製造約14000品目の代替弾力性の分布を用いて、この分布から無作為に抽出した品目群を産業群として捉え仮想経済の産業構造を決め, その下で, 無作為に与えた人口の地域・産業間分布から自己組織的に均衡を得る試行を繰り返した。現在も均衡標本を蓄積中であるが、平成30年度に基本的な解析を行うだけのデータの蓄積は終えた。 3)(1)で扱った個々の理論モデルについて詳細に分析した結果を9編の論文にまとめ公表し、内4編を査読付国際専門誌から出版した。また研究成果の一部を9件の学会等)(内3件は国際会議)にて報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の申請予算から大幅に削減があったため、それに応じて計算処理能力を下げた分、当初の予定より若干時間が余分にかかっている。しかし分析をやや理論・実証よりにすることで、概ね順調に研究は進んでおり、成果も上がっている。
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Strategy for Future Research Activity |
1) 研究実績概要(2)で述べた多産業・多地域経済モデルの分析について、平成29年度に引き続き安定均衡のブートストラップ標本を蓄積するとともに、既に蓄積されたものを用いて、 仮想経済における秩序形成について検証を開始する。 2) 日・米・欧州の1kmメッシュレベルの人口空間分布データを用いて、(1)で理論的に示す集積の秩序形成の実証分析を行う。 3) 更に、日本については利用可能な物流センサス個票を用いて、貿易データから地域経済圏の同定を行い、(1)の多地域・多産業理論モデルが示唆する貿易経済圏との整合性について検証する。 4) 大都市の集積規模の説明要因として有力な、研究開発における集積の経済のメカニズムについて実証分析を進める。具体的には、 特許データを用いて、Berliant and Fujita (2008)による理論モデルに依拠した研究開発のミクロ実証分析を行う。 5) 研究実績概要(1)で示した理論結果を拡張して、都市内のと都心形成メカニズムについて解析的な分析を進める。特に、企業と家計など、都市内で立地要因の異なる経済主体を含むモデルの挙動について理論的に整理する。
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Research Products
(19 results)