2019 Fiscal Year Annual Research Report
Agglomeration and spatial economy: Reconstruction of theoretical and empirical framework
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17H00987
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森 知也 京都大学, 経済研究所, 教授 (70283679)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大澤 実 東北大学, 工学研究科, 助教 (50793709)
赤松 隆 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (90262964)
高山 雄貴 金沢大学, 地球社会基盤学系, 准教授 (90612648)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 集積 / 都市形成 / 秩序形成 / 階層構造 / フラクタル |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 集積規模・空間配置と輸送費の関係についての統一的基礎理論の構築と実証: (i) 一般的な多地域経済モデルにおける集積パターンと輸送費用の関係について、赤松・森・大澤・高山よる研究成果"Endogenous agglomeration in a many-region world"をディスカッション・ペーパーとして公表した。(ii) 都市内の内生的複数都心形成の理論分析枠組として、ポテンシャルゲーム理論を応用した均衡選択の方法を構築し、この分野で最も一般的に用いられるFujita-Ogawaモデルに対して応用した。ある程度単純化した立地空間において複数均衡の下で厳密解析を可能にし、かつ、実経済に則した一般的なモデルにおいては系統的な数値解析を可能にする手法であり、(i)と合わせて都市の内部構造と都市間関係を網羅的に理論・数値解析するための基礎理論となる。大澤と赤松による研究成果は"Equilibrium refinement for a model of non-monocentric internal structures of cities: A potential game approach"を2020年にJournal of Economic Theoryより出版した。(iii) 実証分析に向けて、日本の江戸期の旧街道網のデジタル化を進めた。 2. 多産業都市群モデルによる秩序形成の再現とその実証: 実証部分については、日本・ドイツ・フランス・アメリカ・中国・インドのデータを用いて国ごとに都市システムが都市規模分布の冪乗則を伴う空間的フラクタル構造を持つことを示し、研究成果は森と海外研究協力者との共著 "Common power laws for cities and spatial fractal structures"として、Proceedings of the National Academy of Sicences of the United States of Americaより2020年に出版した。 3. 地域経済県形成に関する実証基礎の構築: 昨年度の森による成果"inter-city trade"を学会報告を通して洗練した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究テーマの最も根本的な基礎理論・実証基礎部分において、Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of AmericaやJournal of Economic Theoryなど国際トップ誌に掲載されており、すでに国際的に高く評価されており、これらに依拠した、残りのテーマについても国際的な評価を期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の研究テーマ1,2および3について以下のように進める。 1. ディスカッション・ペーパーとして公表した集積パターンと輸送費の関係に関する基礎理論を洗練し、本年度中に国際専門誌に掲載する。また、日本の高速道路・新幹線整備及び都市規模等のデータを用い、基礎理論のインプリケーションについて実証分析を完成し、ディスカッション・ペーパーとして公表する。 2. 既に出版した基礎事実にを理論的に再現する研究を進め、今年度中に国際専門誌へ投稿する。 3. 日本の物流センサスを用いて地域間貿易に依拠した地域経済圏の導出を進め、既に公開しているディスカッション・ペーパーを洗練し、国際専門誌に投稿する。さらに、地域経済圏形成の別の要因として、 歴史的経緯による地域間の嗜好類似性を考慮し、貿易ベースの地域経済圏を補完する。そのため、国立言語研究所による「日本言語地図」を用いて、地域間の言語表現の類似性を評価し、 地域経済圏を同定する方法を開発する。一方で、全国青果物市場調査及び家計調査個票を用いて、地域間の青果物に対する支出シェアと価格の連動性との因果関係を評価することにより、嗜好の類似性が市場価格の連動に寄与することを示す。この際、地域間の言語表現の類似性は, 嗜好類似性の操作変数として用いる。
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Research Products
(18 results)