2018 Fiscal Year Annual Research Report
レジリエンスとエフォートを支える内側前頭皮質の神経ネットワーク機能の解析
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17H01014
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
筒井 健一郎 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (90396466)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 情動 / 内側前頭皮質 / サル / 神経トレーシング |
Outline of Annual Research Achievements |
情動の認知的制御にかかわる内側前頭皮質と、情動の中枢である扁桃体および側坐核をむすぶ神経ネットワークの詳細な配線とその機能動態をしらべるための研究を行った。 1.最新技術を用いた神経トレーシングによる神経回路構成の解析 マカクザルの扁桃体および側坐核それぞれに、異なる蛍光タンパク質をエンコードした逆行性アデノ随伴ウイルス(AAV-Retro)を注入し、前部帯状皮質(ACC)やその周辺皮質からの投射について解析を行った。その結果、ACCのなかで扁桃体や側坐核への投射ニューロンが多く分布するのは、とくに腹側部(vACC)であり、その中でも、脳梁前端下方の膝下部(subgenual)からは扁桃体への投射が優性であるのに対して、脳梁前端前部の膝前部(pregenual)からは側坐核への投射が優性であることが明らかになった。また、膝下部に隣接する、眼窩不等皮質からは、軸索を分岐させ、扁桃体と側坐核の両方に投射する細胞が多く見いだされた。以上のように、ACCやその周辺部に、扁桃体や側坐核への投射様式の違いが見られたことは、これらの領域の情動にかかわる機能が異なることを示唆している。 2.電気生理学的測定と神経ネットワーク動態の解析 前年度にひきつづき、前部帯状皮質からの神経活動記録を行った。また、数理的手法を用いた領域間の機能結合解析を始めとする、神経活動の解析プログラムの開発を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね計画通り研究がすすんでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
従来からの取り組みを継続し、開発した解析ツールを使って記録された電気生理学的データの解析をすすめ、内側前頭皮質を巡る神経ネットワークの動態を明らかにしていく。また、解剖学的解析によって得られた詳細な神経配線の情報と、電気生理学的測定によって得られた神経活動の情報をあわせた計算論的モデルの構築を目指す。
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Research Products
(35 results)