2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of self- from bodily self to the representation of self-other distinction
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17H01016
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
明和 政子 京都大学, 教育学研究科, 教授 (00372839)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
乾 敏郎 追手門学院大学, 心理学部, 教授 (30107015)
小川 健二 北海道大学, 文学研究院, 准教授 (50586021)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 身体表象 / 発達 / 自他分離 / 乳幼児 / 社会的認知 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト特有の社会的知性の根幹は,「他者について直接知覚した状態とその背後にある心的状態を自己のそれと分離表象する能力(自他分離表象)」にある.私たちは,身体と環境との相互作用経験が自他表象の分離を創発,発達させ,それを基盤としてヒトの社会的認知システムが構築されると予測するが,自他分離表象が起こる動的プロセスについてはいまだ科学的理解は進んでいない.本研究は,ヒト乳幼児と成人を対象とした実証研究を行い,成人の認知モデルを軸に,自他分離表象がどのように創発・発達していくのかを実験により解釈し,自他分離表象の創発モデルを構築することを目的としている. 当該年度は,「模倣抑制」から「他者視点のイメージ生成」にいたる発達の原理を解き明かすため,乳幼児を対象とした行動実験を行った.具体的には,非模倣知覚から模倣抑制への発達とその個人差,および,模倣抑制と他者視点の機能的関連を検証する行動実験を行った.これらの課題については,平成30年11月までに予備実験を開始し,その後ただちに本実験に着手する予定であった.しかし,本実験の共同研究者である海外研究者との打ち合わせが,当初予定されていた時期に行うことができず,延期となった.それを受けて,本実験の開始も遅れることとなった. そこで,翌年度の平成31年6月および9月の二度にわたり,共同研究者との打ち合わせを行い,成果に関する情報共有と今後取り組むべき課題について具体的な議論を進めた.それにより,本実験に関するデータ収集を完了することができた.それらの成果の一部は,共同研究者と主催した国際ワークショップや,研究代表者が主催した日本発達神経科学学会第8回学術集会,University of PortsmouthやCIFER-IRCN国際セミナー等での招待講演で発表した.現在は,国際学術誌投稿に向けた準備を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海外共同研究者との二度にわたる国際ワークショップの開催や,WEB会議などを精力的に行うことにより,当初予定していた課題を加速度的に遂行することができた.また,ヒト乳幼児を対象とした実験データも,順当に収集することができており,おおむね順調に研究を進展することができている.
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Strategy for Future Research Activity |
現時点では当初予定されていた実験計画を遂行できているが,令和2年度に生じたCOVID-19の感染拡大により,すべての実験を中止している.今後の課題については,実験再開の見通しも現時点では立てることが困難な状況ではあるが,すでに得ているデータの解析と論文執筆活動に注力し,最大限の成果をあげるよう尽力する.
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