2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of ultralow loss photonic crystals at 1-THz band
Project/Area Number |
17H01064
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
冨士田 誠之 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (40432364)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | テラヘルツ / フォトニック結晶 / 1 THz / 回路 / 集積 |
Outline of Annual Research Achievements |
テラヘルツ波は,その発生・検出が困難であったため,ごく最近までは未開の電磁波であった.しかし,通信・センシングといったシステム応用につながる研究が特に0.3 THz帯を中心に最近進展しており,情報・通信分野における重要課題の一つであるといえる.しかし,現状のテラヘルツシステムは主に個別部品を定盤上に並べることで基礎実験がなされている段階であり,大幅な小型化を図るには,テラヘルツ平面集積回路デバイスの実現が不可欠である.本研究で着目するフォトニック結晶は,光の波長に近い大きさの周期を有する誘電体微細構造であり,光の自在な操作を可能にする人工材料として,注目を集めている.研究代表者らはこれまでに,0.3 THz帯において,エレクトロニクス回路の周波数極限に近づいている金属線路と比べ,2桁以上小さい極低損失の平面回路を実現してきた.本研究では,これまでに0.3 THz帯で実現してきたフォトニック結晶回路デバイスを微細化し,機能拡張をすることで未開の1 THz帯への展開を図っていく. 平成30年度は,フォトニック結晶回路の基本となる導波路を1 THz帯にて,設計,作製し,その透過帯域と伝搬損失の評価を行った.フォトニックバンド図と電磁界シミュレーションに基づき,厚さ70 ミクロンのシリコンウエハに形成する円孔三角格子のフォトニック結晶を用いて,1 THz帯に伝搬帯域を有する導波路を設計した.伝搬特性の評価のため,微細なWR-1導波管との接続を可能とするテーパ構造を導波路の両端へ形成したデバイス構造をMEMSの作製プロセスを利用して作製した.昨年度構築した1 THz帯高精度分光システムによって透過測定を評価したところ,周期76ミクロンの設計において,1THzを含む0.99 THzから1.06 THzにおいて損失が3 dB以下となる透過帯域が得られることが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は,平面回路集積デバイスに向けて,基本的かつ最も重要と言える導波路をエレクトロニクス技術を用いた周波数帯として極限領域といえる1 THz帯において,フォトニック結晶を用いて作製し,独自に構築した分光システムにて実証することに成功し,その設計指針を得ることができた. 以上により,1 THz帯フォトニック結晶平面回路デバイスの研究基盤の基礎を構築することに成功したため,おおむね順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの成果を受け,1 THz帯回路デバイスの応用展開に向けて,曲げ,分岐,フィルタなどのコンポーネントの実現を目指すとともに,構築に成功した分光システムに変調および復調に関する機器を導入することで,1 THz帯テラヘルツ波キャリアを用いた通信システムを構築し,この度作製に成功した1THz帯導波路によるデータ伝送実験を行う.分光システムに用いている検出器の感度が不足である場合には,バイアス印加による高感度化や別のデバイスの利用も検討する. 以上により, 1 THz帯フォトニック結晶回路デバイスの応用展開に向けた基盤技術を構築することを目指していく.
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