2018 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment of the third generation plasma gene introduction method by suppressing autophagy and by enhancing synergistic effect
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17H01068
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
神野 雅文 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (30274335)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | プラズマ遺伝子導入 / オートファジー / 複合効果 / シナジー効果 / エンドサイトーシス / 高効率 / 低侵襲 / 非侵襲 |
Outline of Annual Research Achievements |
プラズマ遺伝子導入法について、エンドサイトーシス阻害剤(ノコダゾール)およびオートファジー阻害剤(クロロキンおよびLY-294 002)を用い細胞内の分解プロセスおよび分子運搬経路の解明と導入効率の改善効果を行った。ノコダゾールを用いた場合は、遺伝子発現率は6倍以上の上昇が観察された。同様に、クロロキンを用いた場合は1.6倍、LY-294 002を用いた場合の遺伝子発現効率は1.7倍上昇した。これらの結果から、エンドサイトーシスおよびオートファジー阻害剤で処理することで、細胞内にエンドサイトーシスで取り込まれたDNAおよび小胞から細胞質に放出されたDNAの分解は抑制され、導入効率(発現効率)の上昇が達成された。しかしながら、ノコダゾールおよびクロロキンの同時処理で遺伝子導入効率の更なる上昇はなく、相加効果も相乗効果存在しないこと判った。。以上の結果は、エンドサイトーシス経路の初期エンドゾームとオートファジー経路のオートファゴゾームは同様な細胞内小胞で、これらのいずれの小胞もノコダゾールにより後期エンドゾームへの移行が阻害され、引き続き起こるリソソームとの融合によるDNAの分解が抑制されている可能性を示唆している。 一方、プラズマ遺伝子導入の標的細胞の数を56種類まで増やし、細胞を線維芽細胞、扁平上皮細胞、単層立方上皮細胞、血球細胞などのグループに分類すると、それぞれのグループに対して銃会議分析を行った結果、プラズマ処理の最適時間が、細胞の倍加時間、細胞の大きさ、細胞核の大きさ、の3つの変数の線形結合で表現できることが判った。これは、倍加時間がプラズマから刺激を受けた細胞のエンドサイトーシスの起こしやすさ、細胞と核の大きさがプラズマから受ける電気的刺激・化学的刺激への感受性を表しているものと考えられ、これまでに我々が明らかにしてきた機序と合致する結果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大学の建物の改装により実験室の移転するため第2年度と第3年度以降の計画の実施の順番を見直したが、前倒しした項目については十分な成果が得られている。特に、オートファジー制御により遺伝子導入効率が改善されることが明確になり、また、重回帰分析により、機序構造が数値的に表現できるようになるなどの新しい成果が得られた。これにより、電圧条件の決定要因の検討、化学的要因(ラジカル)の役割の検討、をすることで、機序の全容が明らかにできると期待できることが判った。このように、オートファジー制御を軸にプラズマ遺伝子導入の機序を探求するという本計画は概ね順調に推移している。
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Strategy for Future Research Activity |
重回帰分析により、プラズマ処理時間という切り口で機序構造が数値的に表現できるようになったが、もう一つの制御パラメータである電圧についてはまだ説明ができていない。細胞ごとの最適電圧の決定する実験式を得られれば、機序構造の解明に大きく近づくと期待できる。また、化学的要因(ラジカル)の具体的な役割はまだ明らかにできていないので、これを解明する必要がある。機序の全容解明に向け、第3年度、第4年度は最適電圧の決定式を得ることと、ラジカルの役割の解明に注力し、機序の全容解明を試みる。
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