2018 Fiscal Year Annual Research Report
ファンデルワールス材料を用いた革新的熱電変換デバイス
Project/Area Number |
17H01069
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
竹延 大志 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (70343035)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳 和宏 首都大学東京, 理学研究科, 教授 (30415757)
岡田 晋 筑波大学, 数理物質系, 教授 (70302388)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | π電子材料 / 物性評価 / 素子作製 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、Internet of Things(IoT)に特化した革新的熱電変換デバイスを実現する。具体的には、高度にキャリア数制御されたファンデルワールス材料(有機材料・フラーレン・カーボンナノチューブ(SWCNT)・原子層材料)を用い、高性能と柔軟性・伸縮性の両立を目的する。本目的達成を最も効果的に導く戦略要素は以下の五項目に集約される。 ①電解質を用いた広範囲かつ高度なキャリア密度制御、②キャリア密度制御と熱電変換特性評価の両立、③様々なファンデルワールス材料への本手法適用、④第一原理計算に基づくメカニズム解明、⑤柔軟性・伸縮性の導入 H30年度は、以下を実現した。 ①電解質を用いた広範囲かつ高度なキャリア密度制御:半導体―電解質界面において、電気化学反応の前段階に形成される電気二重層を用いた電場による電荷密度制御を様々な材料へ適用した。H30年度は、配向した単層カーボンナノチューブ、大面積多結晶グラフェン、様々な導電性高分子材料への本手法適用に成功した。 ②キャリア密度制御と熱電変換特性評価の両立:本研究提案の根幹となる着眼点は、電気二重層に蓄積された電荷により電子伝導体(半導体)の熱電変換特性が変化する様子の、その場観測である。H30年度は、昨年度までに構築した測定装置を更なる改良を行い、4端子抵抗と熱起電力の測定が可能となった。 ③様々なファンデルワールス材料への本手法適用:電気二重層を用いたキャリア密度制御技術を配向した単層カーボンナノチューブ、大面積多結晶グラフェン、様々な導電性高分子材料などに適用した。 ④第一原理計算に基づくメカニズム解明:第一原理計算の結果を一部反映させた理論の枠組みによりグラフェンにおける熱起電力の伝導度依存性を明らかにする試みに着手し、順調に進展している。 ⑤柔軟性・伸縮性の導入:柔軟性・伸縮性の導入が可能な装置系の構築に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究は、Internet of Things(IoT)に特化した革新的熱電変換デバイスを実現する。具体的には、高度にキャリア数制御されたファンデルワールス材料(有機材料・フラーレン・カーボンナノチューブ(SWCNT)・原子層材料)を用い、高性能と柔軟性・伸縮性の両立を目的する。H30年度は、特に③様々なファンデルワールス材料への本手法適用、という当初の目的が計画以上に進展し、単層カーボンナノチューブ、グラフェンや遷移金属ダイカルコゲナイドなどの原子層物質、導電性高分子材料に関する広範な成果を挙げることが出来た。特に、単層カーボンナノチューブと導電性高分子においては配向試料の作製に成功し、予想以上の成果が得られた。加えて、測定法に関しても4端子測定と温度変化測定の導入に成功しており、こちらも予想以上の成果が得られた。これらは研究計画段階では想定されなかった成果であり、予想以上の成果があがっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでに確立した実験手法を、さらに様々な材料に拡張するだけでなく、当初の予定であった④第一原理計算に基づくメカニズム解明と⑤柔軟性・伸縮性の導入を、より強力に推進する。具体的には、第一原理計算だけに固執せず、最もシンプルな枠組みである線形応答理論を利用し、ハミルトニアンの部分に第一原理計算の知見をフィードバックする方法で、幅広いキャリア密度における熱電特性を明らかにする。その上で、ファンデルワールス材料における熱電変換原理の定量的理解及び物質設計指針を体系付ける。また、昨年度における装置系の改良により4端子測定と温度変化が可能となった。今後は、伝導測定(温度変化・磁場変化)により物性を明らかにし、その知見を基に熱電特性を理解することに挑戦する。これらを解明した上で、プラスチック基板(ポリイミド)上および伸縮性基板(PDMS)上における熱電変換素子の特性評価・特性制御に挑戦する。既に、プラスチック基板上のグラフェンにおける熱電特性の測定には成功しており、十分な準備が整っている。
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Research Products
(82 results)