2017 Fiscal Year Annual Research Report
Polarization control for crossed-undulator superradiance
Project/Area Number |
17H01070
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
濱 広幸 東北大学, 電子光理学研究センター, 教授 (70198795)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武藤 俊哉 東北大学, 電子光理学研究センター, 助教 (10431496)
日出 富士雄 東北大学, 電子光理学研究センター, 准教授 (60292207)
柏木 茂 東北大学, 電子光理学研究センター, 准教授 (60329133)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | コヒーレント放射 / 偏光操作 / 電子加速器 / 交叉型アンジュレータ |
Outline of Annual Research Achievements |
近年急速な高度化を遂げているテラヘルツ(THz)光源ではあるが、偏光特性の操作を容易に行うことはできない。本研究は電子加速器をベースにした特徴あるTHz光源の確立を目指すものである。2つのプラナー型アンジュレータを垂直と水平の2方向にタンデムにおいた交叉型アンジュレータと呼ぶシステムを構築して、偏光状態を高速で操作できる光源の開発研究を推進する。短パルス電子ビームが放つ位相が揃った互いに偏光面が直行する2つの直線偏光の光電場を重畳することで、原理的に直線偏光から楕円偏光及び円偏光を生成できる。本年度は交叉型アンジュレータのパフォーマンス評価をを睨んで、電子からの放射の数値シミュレーション計算を行うために波動方程式からLienard-Wiechertポテンシャルを積分するコードを3次元磁場計算コードであるRadiaと結合したプログラムを開発・整備した。また本研究で用いる超短パルス生成用加速器t-ACTSから安定にコヒーレントTHz放射を得るために運転パラメータの最適化に加え、電子ビームの診断系を整備した。t-ACTS においてはVelocity Bunchingによりバンチ圧縮を行い、放射スペクトルが3.5THzにおよぶ広帯域のコヒーレント遷移放射と狭帯域のコヒーレントアンジュレータ放射の発生を確認した。このような3THz以上のコヒーレント放射を安定に得られる施設は世界的に僅かしかないことから、t-ACTSは特徴的なTHz光源施設とされる。また、チェレンコフ光を用いたバンチ長測定を試みた研究では、従来にない高効率な方法で集光する光学系は極めて有用である事が実験的に示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
購入予定であったイメージング実験のためのテラヘルツカメラが、メーカーの事情によって販売停止とされたために、THz光の利用実験装置の構築に支障がでたが必要経費を繰越すことで、小型検出器と2次元ステージおよびマイケルソン干渉分光計を組み合わせた代替可能な独自の装置を開発する事として、重大な支障を避けることができた。 本年度で開発したコヒーレント放射の強度や角度広がり等の特性を数値計算するプログラムコードは、任意の磁場分布における電子の運動を求める非常にユニークなものであり、研究遂行に極めて有用である。 t-ACTS電子加速器によるコヒーレントTHz放射の発生が非常に安定に行えるようになり、研究の進展に大きく寄与することになる。
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Strategy for Future Research Activity |
原理実証のための交叉型アンジュレータシステムのプロトタイプの詳細設計を早期に着手する。平成30年度中には完成させたい。アンジュレータのみであれば概ね見込みが良好である。しかしながら、位相調整(phase shifter)と呼ぶ一台目のアンジュレータ放射と電子バンチのタイミングを操作する機能については、詳細なビーム輸送計算が終わっていない。t-ACTSの実験室はスペースが足りず、通常のビーム光学機器では納まらないことが明確になったため、偏光操作の原理実証のみを第一目的とする機能を持たせたphase shifterを平成30年度前半で検討することとした。
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