2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development and Application of Tabletop Source of Microbeam by Utilizing Laser Driven Dielectric Switch
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17H01071
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上坂 充 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (30232739)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 時浩 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器科学研究センター, 専任研究員 (80301745)
吉田 光宏 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 准教授 (60391710)
山下 真一 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (20511489)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 卓上マイクロイオンビーム源 / ガラスキャピラリー / 放射線誘起DNA損傷修復 / DNA損傷修復時間分解分析 / GFP-XRCC1 / γH2AX / DNA化学安定 / Ac225α線がん治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
卓上マイクロイオン加速システムのメインのコンポーネントのイオン源、高速スイッチ、加速管のプロトタイプを作製し、それぞれの動作テストを行った。イオン源では、レーザーイオン源を開発し、そこから十分なイオン電流が得られ、また炭素の6価イオンまで生成できることを確認した。高速スイッチでは光伝導スイッチを開発した。そのオン抵抗は5Ω程度と非常低い値となった。立下り時間に関しては、印加電圧が高いほど性能が下った。これは、印加電圧が高いと半導体基板内でアバランシェが起きているためである。耐電圧に関しては15kV以上となり、目標を達成できた。アルミニウム製の加速管を開発し、それへのパルスの透過および反射を測定した結果、パルスパワーが 90%透過していた。これによりイオン加速システムに組み込むことができることを確認した。今後の課題は、光伝導スイッチの立下り特性を上げること、加速器の各コンポーネントを組み合わせたものを用いて実際に炭素イオンを加速させることである。 ガラスキャピラリーマイクロビームDNA損傷分析につき、理化学研究所にてガラスキャピラリーを製作し、細胞照射実験の第一回目を実施した。γH2AX分析でDNAの二本鎖切断の存在を確認し、その結果の分析を行っている。今後はAc225α線がん治療を想定して、He2+マイクロビームで細胞照射し、GFP-XRCC1等で一本鎖切断の、γH2AXによる二本鎖切断の観察と相関を分析する。さらに次世代シーケンサによってどの遺伝子が損傷したか分析を行う。 イオンビームによるDNA損傷誘発の初期過程を生化学分析により観察し始めた。鎖切断(一本鎖節単及び二本鎖切断)が起こると高次構造が大きく変化するため、鎖切断を高感度で検出可能な大腸菌プラスミドDNA(pUC18)を試料とした。量研機構放医研のHIMACでイオンビーム照射を行い、鎖切断の収率について調べ始めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
卓上マイクロイオン加速システムにつき、レーザーイオン源を開発し、15kV光伝導電圧スイッチを実証し、プロトタイプ加速管の設計も行った。 ガラスキャピラリーマイクロビームDNA損傷分析につき、密封Am241からのα線での細胞照射予備実験を経て、理化学研究所にてガラスキャピラリーを製作し、細胞照射実験の第一回目を実施した。γH2AX分析でDNAの二本鎖切断の存在を確認した。 イオンビームによるDNA損傷誘発の生化学分析は想定通りに行えており、イオンビーム照射で将来的に考えていくべき課題も明らかになってきている。
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Strategy for Future Research Activity |
卓上マイクロイオン加速システムにつき、光伝導スイッチの立下り特性を上げることや、加速器の各コンポーネントを組み合わせたものを用いて実際に炭素イオンを加速させることである。加速したイオンを、ガラスキャピラリーを使ってビーム径を 1 程度に絞り細胞に照射することを踏まえ、イオンは /秒以上の数を加速させることが必要である。将来的には、加速管の数を増やし、1m 程度で 1MeV/u まで加速させることを目指す。 ガラスキャピラリーマイクロビームDNA損傷分析につき、Ac225α線がん治療を想定して、He2+マイクロビームで細胞照射し、GFP-XRCC1等で一本鎖切断の、γH2AXによる二本鎖切断の観察と相関を分析する。さらに次世代シーケンサによってどの遺伝子が損傷したか分析を行う。その後、X線・陽子・炭素線照射細胞のDNAの遺伝子分析、一・二本鎖切断修復過程の相違も考察したい。 イオンビームによるDNA損傷誘発の生化学分析において、実験データの再現性が低くなる原因の一つである不純物の除去を行う。具体的には透析カセットを用いてDNA純度を向上していく。
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Research Products
(14 results)