2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17H01086
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
荒川 知幸 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (40377974)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 博 東京女子大学, 現代教養学部, 准教授 (40452213)
疋田 辰之 京都大学, 数理解析研究所, 助教 (70793230)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 群の表現論 / 頂点作用素代数 |
Outline of Annual Research Achievements |
リオデジャネイロで開催された国際数学者会議、大栗博司氏のハンブルグ賞受賞記念研究集会「Theoretical Physics Symposium 2018」、Simon Instituteで開催された「Vertex Algebras and Gauge Theory」、他9件の国際会議で招待講演を行い、5本の査読付き論文が出版された。桑原俊郎氏、中筋麻貴氏とともに、研究集会「Algebraic Lie Theory and Representation Theory 2018」を開催した。また、数理解析研究所のプロジェクト「頂点作用素代数と対称性」の世話人の一人として、山内博とともに多数の外国人研究者を招聘し、議論を交わした。 研究面では、(1)Edward Frenkelとの共同研究により、量子幾何学的Langlands対応の証明のプログラムにおいて本質的な役割を果たす、W代数の表現の双対性を確立した (arXiv:1807.01536 [math.QA])。(2)4次元のN=2超対称性を持つ超共型場理論のうちの、クラスS理論に対応する頂点代数を数学的に厳密に構成し、その随伴多様体がBraverman-Finkelber-中島によって構成されたMoore-立川多様体に一致することを示した(arXiv:1804.01287 [math.RT])。この結果はRastelli等によって予想されていた頂点代数をターゲットとして持つ二次元の位相的場の理論の存在を証明すると同時に、Beem-Rastelliによる4次元理論の幾何学的不変量であるHiggs枝が、対応する頂点代数の随伴多様体と一致するというBeem-Rastelli予想をクラスS理論に対して肯定的に解決したことになる。(3)Jethro van Ekerenとの共同研究により、ADE型の副正則冪零元に付随するW代数の加群のなすモジューラーなテンソル圏を研究した。特にD, E型の場合のフュージョン則は大変興味深く、新しいユニタリーなモジューラーなテンソル圏を発見した可能性があり、現在専門家と意見を交わしている最中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の主要目的の一つであったW代数のコセット構成法に関する予想を完全に解決したことは前年度の実績報告書に述べた通りであるが、さらに当該年度では、量子幾何学的Langlands対応に関わる本質的な問題を解決し(Edward Frenkelとの共同研究), Rastelli等によって予想されていた頂点代数をターゲットとして持つ二次元の位相的場の理論の存在を証明すると同時に、Beem-Rastelliによる4次元理論の幾何学的不変量であるHiggs枝が、対応する頂点代数の随伴多様体と一致するという予想をクラスS理論に対して証明することに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は予想以上に進展しており、それに伴い研究対象が加速度的に広がっている。そのため以前の研究計画には必ずしもこだわらずにタイムリーかつ重要な問題から順次取り組んで行くとともに、地味だが残された重要な未解決問題を着実に解決していくという必要がある。この両立しづらい推進方策の実行のためには研究体制を拡大することが必要不可欠であり、多くの研究者の招聘及び国内外での様々な研究交流により研究協力者を拡大することより対応していく。
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Research Products
(34 results)