2019 Fiscal Year Annual Research Report
The Einstein Equation and Three Dimensional Manifolds
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17H01091
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
山田 澄生 学習院大学, 理学部, 教授 (90396416)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
儀我 美一 東京大学, 大学院数理科学研究科, 教授 (70144110)
白水 徹也 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 教授 (10282716)
松本 幸夫 学習院大学, 理学部, 研究員 (20011637)
小野寺 有紹 東京工業大学, 理学院, 准教授 (70614999)
泉 圭介 名古屋大学, 基礎理論研究センター, 助教 (90554501)
野澤 真人 京都大学, 基礎物理学研究所, 研究員 (60547321)
三石 史人 福岡大学, 理学部, 助教 (80625616)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アインシュタイン方程式 / 5次元ブラックホール時空 / 調和写像 / 特異点解析 / 変分法 / ADM理論 / 正質量定理とペンローズ不等式 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画第3年度の本年度は、11月に開催した国際研究集会"Geometric Analysis and General Ralativity"を中心として、アインシュタイン方程式を満たす時空の幾何学的構造に関する研究活動を進めた。 昨年度に引き続いて、研究連携者であるM.Khuri氏およびG.Weinstein氏とともに、5次元、真空、アインシュタイン方程式の定常解の構成を調和写像を用いて行った。このエルンスト形式とよばれる方法論で構成されるアインシュタイン時空には、幾何学的な特異点が内在しており、それら特異性の除去をする方法論について2018年度に引き続いて研究の進展を図った。これらの業績は論文として執筆中である。 東京大学駒場キャンパスにおいて行われた国際研究集会"Geometric Analysis and General Ralativity"においては、海外から7名の講演者に加え、国内から若手の研究者を募り、一般相対性理論と幾何解析に関する分野融合的な情報発信を行った。本研究課題の中心となるアインシュタイン方程式を介して、国外からの参加者からも、学際的な切り口は好評であり、国境および世代を超えた活発な議論の場を提供できたことは、本研究グループにとっても、大きな手応えとなった。 研究代表者は、本研究課題とは独立に距離空間の幾何学に関わってきた。時間的な距離空間というH. BusemannおよびA.D.Alexandrovによって半世紀前に提唱された分野においての研究代表者の近年の研究が、期せずして本研究課題と関連するに至り、本年度には、Timelike Funk and Hilbert Geometriesという論文を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度から2019年度にかけて、研究代表者は、研究分担者及び連携研究者との共同研究として3本の論文の発表・出版を介して、非自明な事象の地平線を内包する5次元アインシュタイン定常時空の構成法を情報発信した。これらは、幾何解析の観点から、数理物理学の分野に新たな視点を提供したことで、国際的に注目を浴びている。1916年に発表されたヘルマン・ワイルのアインシュタイン方程式の厳密解の変分的な構成法に根ざした調和写像を介した5次元アインシュタイン時空の構成は、既知の厳密解の各論に囚われない統括的な特徴から、現在多くの新しい問題が提起されるに至っており、2020年度を含む3年間の研究期間における具体的な研究課題が定式化されており、申請時に計画した課題の進捗状況は良好であると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
軸対称性を持つ楕円型変分法の解である調和写像によって構成された5次元定常時空の内包する特異点の幾何学的な特徴付けを、昨年度に引き続き行う。その方法論としては、Schoen-Yauによって定式化されたADM質量に関する正質量定理の証明の本質を再考することで、特異点の持つ意味合いを大域的な幾何構造との兼ね合いを介して進めて行く。 また5次元時空内の時間一定面として現れる4次元リーマン多様体内における曲率流等の偏微分方程式の方法論の定式化を、昨年度に継続して行い、曲率流の特異点と単調性公式の関連性を定式化することを目標とする。
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Research Products
(54 results)