2018 Fiscal Year Annual Research Report
複雑領域のポテンシャル解析の深化―非線形PDEと理想境界への応用
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17H01092
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
相川 弘明 北海道大学, 理学研究院, 教授 (20137889)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
志賀 啓成 東京工業大学, 理学院, 教授 (10154189)
木上 淳 京都大学, 情報学研究科, 教授 (90202035)
倉田 和浩 首都大学東京, 理学研究科, 教授 (10186489)
須川 敏幸 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (30235858)
平田 賢太郎 広島大学, 理学研究科, 准教授 (30399795)
加須栄 篤 金沢大学, 数物科学系, 教授 (40152657)
正宗 淳 北海道大学, 理学研究院, 教授 (50706538)
利根川 吉廣 東京工業大学, 理学院, 教授 (80296748)
堀田 一敬 山口大学, 大学院創成科学研究科, 講師 (10725237)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ポテンシャル / 容量 / 調和 / 熱方程式 / 正値解 / リーマン多様体 / 平均曲率流 / レブナ-方程式 |
Outline of Annual Research Achievements |
複雑領域のDirichlet最小固有値とその複雑領域をベースに持つシリンダー上の熱方程式の正値優解の大域可積分性との関連を調べた.有界Lipschitz領域においてLane-Emden方程式を含む半線形楕円型方程式に対して,境界に孤立特異点をもつ正値解の存在・非存在および境界全部でゼロとなる正値解の境界挙動について考察した.n+1次元有界狭義凸領域において任意に与えられたn次元閉修正可能集合を初期データとして,ディリクレ条件の下,時間発展するBrakkeの平均曲率流の時間大域存在定理の証明のめどをつけた.空間非一様項をもつ空間1次元のSchnackenberg数理モデルの対称なワンピーク定常解の構成と安定性解析を行った.FitzHugh-Nagumo反応拡散系における特異摂動問題におけるエネルギー漸近展開公式を得た. リッチ曲率が一様に下から抑えられた完備リーマン多様体に対して,増大する距離球面の直径が適当に抑えられた場合,$\Delta u =u$の正値解がすべて爆発するということを発見した.多様体上のシュレディンガー作用素に対する一般化された熱の保存則をラプラス作用素に対する保存則により特徴づけ,任意の完備リーマン多様体は一般化された熱の保存則が成立するポテンシャルを持つことを証明した. 等角写像の力学系の理論とそのタイヒミュラー理論への応用を模索し,一般化されたレブナー方程式を用いて,適切な条件のもとでは等角写像の擬等角拡張を構成できることを示した.Klein群などの力学系から定義されるカントール集合の擬等角同値性を研究した.平面内の双曲領域,特に穴あき平面の双曲計量を具体的に評価した.Dirichlet formの与えられた距離・測度空間列がmonotonicityであればその射影極限上にDirichlet form が構成できることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者,分担者ともに活発な研究活動を行い,昨年度は査読付き論文14編(掲載予定を含む),招待講演18件(代表的なものを選定)を行った.ポテンシャル論を中核とし,複素解析,PDE,確率論,幾何学に渡る多様な研究成果が上がった.本研究課題の学術研究員として米国Missouri大学で学位を取得したAdisak Seasaneaを雇用し,非線形PDEと実解析の関連研究を開始することができた.2019年2月には小規模な国際研究集会Potential Analysis and its Related Fields 2019を北海道大学で開催し,研究分担者の他に海外研究協力者Pnki Kim,Miciel van den Berg,Yi Huangらも出席して研究成果発表を行った.
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度に上がった研究成果をさらに発展させ,研究代表者と分担者は協力してポテンシャル解析を様々な局面に応用していく.2019年4月に研究代表者は北海道大学から中部大学に異動になるので,名古屋周辺のポテンシャル論関係者と連絡を密にして研究を推進する.とくに名城大学の鈴木教授を研究分担者に加え,ポテンシャル解析の近似理論への応用を深める.また,鈴木教授の下で学位を取得した伊藤健太郎博士をRAとして雇用(9月まで中部大学,10月以降名城大学)し,この方面の研究を広げていく.研究代表者は定期的に北海道大学を訪問し,研究分担者・正宗および学術研究員のAdisak Seasanea,および学振PDの原と研究打ち合わせを行う.海外研究協力者とも連絡を取り合い,研究の進捗状況に合わせて招聘・訪問を行う.
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