2020 Fiscal Year Annual Research Report
Theoretical Study on Formation of Supermassive Black Holes
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17H01102
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大向 一行 東北大学, 理学研究科, 教授 (70390622)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細川 隆史 京都大学, 理学研究科, 准教授 (30413967)
大須賀 健 筑波大学, 計算科学研究センター, 教授 (90386508)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 巨大ブラックホール / 宇宙初期天体 / 星形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
銀河中心部に存在する大質量のブラックホールは、宇宙初期にあった大質量の種ブラックホールから成長したものと考えられているが、その起源は謎に包まれている。最初の種ブラックホールは、巨大星形成とその直接崩壊によって形成されたとされ、強い紫外線に曝された始原ガスからの星形成の際には巨大星が形成され直接崩壊が起こることが知られていたが、そのような環境は稀であるため、数が少なすぎた。 我々の前年度までの研究で、これまでは普通の星団が形成されると考えられていた、強い紫外線下での微量の重元素を含むようなガスからの星形成過程の際にも「超競争的降着」により星団内の最も大きな星は、10万太陽質量以上の巨大星となりえることが分かった。 そこで、今年度の研究では宇宙論的シミュレーションを実施し、実際にどれくらいの数の種ブラックホールが形成されうるのかを調べた。 宇宙論的N体シミュレーションと銀河進化の半解析モデルを組み合わせ、直接崩壊シナリオを通じて形成された超大質量ブラックホール(SMBH)を保持するハローの割合を推定した。以前の研究では、直接崩壊は化学的に原始的なハローに限定されていたが、今回はある閾値以下の金属量のハローでも直接崩壊が発生することを仮定した。同時に、同じハロー内の星からの紫外線放射の影響を考慮した。結果として、低い閾値金属量では内部放射がの数密度を減少させ、高い閾値金属量では増加させることがわかった。また、シミュレーションから期待される閾値金属度程度で実際に宇宙に存在する巨大ブラックホールの種を形成可能であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
最初の研究計画と比べ、大きな遅れなく、さらに前年度には新たな発見があった。すなわち、重元素を持つ低金属度雲中での超競争的降着による種ブラックホール形成という新たなチャネルである。今年度は宇宙論的シミュレーションを実施し、実際にこの理論で宇宙に存在する巨大ブラックホールの種形成が可能であることが見いだされた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究は計画の目標を上回る成果を挙げることができました。私たちは次年度もこの成功の勢いを維持し、計画の完遂に向けて分担者と協力しながら研究を進める予定です。
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