2018 Fiscal Year Annual Research Report
超広視野撮像観測に用いるCCDと同じ空間分解能の低ノイズ近赤外線検出器の開発
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17H01117
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
中屋 秀彦 国立天文台, 先端技術センター, 助教 (70450179)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永山 貴宏 鹿児島大学, 理工学域理学系, 准教授 (00533275)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 近赤外線検出器 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに試作した小面積素子ではノイズがわずかに要求仕様を超えていたほか、大面積化によりノイズが悪化することがわかっていた。さらなる低ノイズ化をすすめるため、これまでに、より微細な製造プロセスを用いたCMOS回路を製造し、今回これにインジウム・ガリウム・ヒ素(InGaAs)を貼りつけた15um画素サイズの小面積近赤外線イメージセンサーを試作した。冷却駆動試験を行い、これまでの素子と比較した結果、期待通りの低ノイズな結果を得ることができた。これは超広視野カメラに搭載し遠方銀河の探査を行うために必要とする仕様を十分満たす結果である。 小面積素子の試験結果から、新しいCMOS製造プロセスが超広視野カメラに用いる近赤外線イメージセンサーの製造に使えることがわかっただけでなく、さらなる低ノイズ化が可能であることが明確となった。来年度に製造する大面積素子は、このCMOS製造プロセスを用いることにした。 2016年度製造の大面積素子を鹿児島大学の観測装置と望遠鏡に搭載して試験観測を行った。近赤外線によるクリアな画像を得ることができたほか、この素子で見られる残像が観測にどのように影響するか調査を行うことができ、運用方法により影響を軽減できることがわかった。 その他、今回の小面積素子の画素回路を元にした大面積素子の仕様を検討したほか、モザイクパッケージの部材の改良や接着剤の試験を行った。小面積素子の試験結果、および鹿児島大学での試験観測の結果を日本天文学会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度当初の計画通り、新しい製造プロセスによるCMOS回路にInGaAsを貼り合わせて、近赤外線イメージセンサーとして試作することができた。さらに、低温駆動試験の結果、期待通りの結果を得ることができた。したがって、おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に試作した画素回路を元に、新しいCMOS製造プロセスを用いた大面積素子を試作し、低温に冷却して評価を行う。また、モザイクパッケージにCMOS回路を貼りあわせ、モザイクパッケージの評価を行う。これらを元に超広視野カメラの実現性を検討する。
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