2018 Fiscal Year Annual Research Report
Study of baryonic force through the electrmagnetic spectroscopy of Lambda hypernuclei
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17H01121
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中村 哲 東北大学, 理学研究科, 教授 (50280722)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金田 雅司 東北大学, 理学研究科, 助教 (00400226)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ハイパー核 / 電磁生成 / 電子ビーム / ストレンジネス / ハドロン |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに米国ジェファーソン研究所(JLab)で収集したラムダハイパー核実験の結果をベースとして、さらに本課題でH29年度に実施したラムダハイパー核電磁分光実験の概念設計、シミュレーション結果を加味して、次世代ハイパー核電磁分光実験であるJLab E12-15-008実験のセットアップの最適化を進めた。 我々が国内で設計、製作しJLabに設置した高分解能K中間子検出器(HKS)とJlab Hall-A実験室常設の高分解能検出器 HRS に加え、新たに正負荷電粒子を分離するセプタム電磁石を導入することにより4.5GeVまで入射電子エネルギーを上げることが可能となる。これにより制動放射、メラー散乱におる背景雑音をより前方にブーストし、検出器のアクセプタンス外に追いやることができる。このため電磁相互作用に起因する背景雑音を圧倒的に減らすことが可能となる。 セプタム電磁石制作のためのコストを低減するために、ジェファーソン研究所に既存のAPEX電磁石を部品として再利用することを検討したが、東北大学がハイパー核電磁分光実験に特化した別の電荷分離電磁石(PCSM)を新たに製造することが決まったため、APEX磁石ではなく、PCSM電磁石をベースにアタッチメントを追加することで本研究に最適化した磁石に組み上げるように設計を変更した。 APEX磁石の利用はしないこととなったが、APEX実験との共同研究体制は維持し2019年度初頭にデータ収集を行った。また、2018年冬にはジェファーソン研究所においてトリチウム標的を用いたΛ-核子3体系探索実験のデータ収集も成功裏に行った。マインツ大学においては電子ビームエネルギー精密測定技術に関する基礎研究、東北大学電子光理学研究センターにおいては軽いハイパー核の寿命測定実験に関する実験準備も進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予算の制限によりセプタム電磁石をゼロから新規に作成することが難しいことが分かったが、ジェファーソン研究所に既存のAPEX電磁石をベースとして、大幅に改造することで必要となる正負荷電粒子を分離できるデザインを進めてきた。2018年度、東北大学がハイパー核電磁分光実験に特化した別の電荷分離電磁石(PCSM)を新たに製造することが決まったため、APEX磁石ではなく、PCSM電磁石をベースにアタッチメントを追加することで本研究により最適化した磁石に組み上げることにした。このため磁石の改造計画は2019年度にずれ込み、若干遅れたが、当初予定していたよりも性能の良い電磁石を製作することが可能となった。 また、ジェファーソン研究所において2018年度に予定していたトリチウム標的を用いたラムダ-核子3体系電磁生成実験のデータ収集に成功した。これは三重水素標的、水素標的といった低温標的に加え、標的場所依存性校正用炭素標的とJLabのHRS磁気スペクトロメータ2台を用いてラムダ-核子3体系の欠損質量を求めることで、その存否を明らかにするという実験である。現在、日米の解析チームが十分な情報交換の上、解析を進めている。 また、APEX(ダークフォトン探索実験)のデータ収集も2019年初頭にジェファーソン研究所において無事、成功裏に終了した。こちらについてもデータ解析を進めている。 よって、研究は概ね順調に進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本予算の範囲内で新たな電荷分離セプタム電磁石を製作することは当初から不可能であることは分かっていたため、JLabのAPEX実験が所有するセプタム電磁石を部品として本実験に必要な電磁石を製作することとしていた。しかし、東北大学が新たにハイパー原子核電磁生成研究に特化した電荷分離双極電磁石(PCSM)を製作することになった。この電磁石をベースにアタッチメントを新たに追加することで、より性能の良い電磁石を得ることが可能であることが分かった。このため、APEX磁石の改造は行わず、その代わりにPCSMへのアタッチメント部品を2019年度に製作することにした。 2019年度、本課題では負電荷粒子側、正電荷粒子側それぞれのアタッチメント部の機械設計を進め、そのモデルを下に、詳細な三次元磁場計算を遂行する。得られた磁場マップをモンテカルロシミュレーションコードに取り込み、スペクトロメータとしての性能を確認した上で、製作を進める。 また、2018年度にジェファーソン研究所において収集したラムダ-核子3体系に関するデータは今年度も日米の解析チームが密接な情報交換の上、独立に解析を進める。 また、Ca40, 48標的のホルダー等も米国側研究者、技術者との情報交換を密に行い、設計、製作を進める。
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[Journal Article] Neutral Kaon Spectrometer 22018
Author(s)
Kaneta M.、Beckford B.、Fujii T.、Fujii Y.、Futatsukawa K.、Han Y.C.、Hashimoto O.、Hirose K.、Ishikawa T.、Kanda H.、Kimura C.、Maeda K.、Nakamura S.N.、Suzuki K.、Tsukada K.、Yamamoto F.、Yamazaki H.
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Journal Title
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A: Accelerators, Spectrometers, Detectors and Associated Equipment
Volume: 886
Pages: 88~103
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] JLabにおける3H(e,e’K+)反応を用いたnnΛ状態探索実験2019
Author(s)
板橋浩介, 上原圭太, 金田雅司, 後神利志, 小西由浩, 外山裕一, 中村哲, 前田和茂, 永尾翔, 藤井優,F.Garibaldi, G.M Urciuoli, P.E.C. Markozitz, J. Reinhold, L. Tang 他 JLab Hypernuclear Collaboration
Organizer
日本物理学会第74回年次大会(九州大学)
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[Presentation] 次世代ハイパー核(e,e’K+)反応分光実験用水チェレンコフカウンターの開発2019
Author(s)
秋山タケル, 板橋浩介, 上原圭太, 奥山和樹, 金田雅司, 後神利志, 小西由浩, 外山裕一, 永尾翔, 中村哲
Organizer
日本物理学会第74回年次大会(九州大学)
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