2019 Fiscal Year Annual Research Report
先進技術とエキゾチック原子法の融合による超高感度反粒子宇宙線観測の推進
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17H01136
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
福家 英之 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (10392820)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 宇宙線 / 暗黒物質 / 反粒子 / 反物質 / エキゾチック原子 / 測定器開発 / 気球実験 / 先端機能デバイス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終目的は、国際共同研究計画GAPS(General Anti-Particle Spectrometer)を実現し、宇宙線反粒子の高感度観測によるダークマター探索を推進することである。ダークマターの解明は現在の宇宙物理学の最重要課題の一つである。未発見の宇宙線反粒子である反重陽子は、超対称性粒子ニュートラリーノなどのダークマター有力候補の対消滅などを起源として存在する可能性があり、しかも低エネルギー領域にて二次起源成分(既知の物理学起源)の影響を殆ど受けずに単独で観測できる可能性がある。GAPSは、その反重陽子をかつてない高感度で探索・観測することを計画している。これによりGAPSは、ダークマターの多角的な研究において他実験とは相補的かつ独自の一翼を担うことができる。 2019年度は、それまでの研究成果を踏まえ、南極周回気球飛翔観測に向けたGAPS測定器の開発を進めた。GAPS測定器の中核を担うリチウムドリフト型シリコン(Si(Li))検出器に関しては、前年度までに確立した製造法を適用して実機の量産製作を推し進め、計画通りの製作を達成したほか、長期安定性などの基本特性を評価確認した。また、GEANTなどを用いた数値シミュレーションコードの開発も進め、測定器全体や各サブシステムの詳細設計の最適化やデータ解析アルゴリズムの構築検討を進めた。 Si(Li)検出器の冷却のためにOHP(自励振動ヒートパイプ)という先進的な熱工学技術を独自に発展させて開発している冷却システムに関しては、実機サイズモデルを用いた実用的なシステム開発を進めた。米国にて実施予定の冷却システム試験が米国側の器材に予期せず発生したトラブルに伴い遅延したことで、日本側の関連器材調達などを2020年度に繰り越したが、2020年度に完了した。 得られた成果は学会や学術論文で順次発表している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Si(Li)検出器の冷却のため進めている冷却システム開発のうち、米国にて実施予定の試験が米国側の器材に予期せず発生したトラブルに伴い遅延したことで、日本側の関連器材調達も遅延した。ただし、2020年度に繰り越したうえで2020年度に完了している。 そのほかの研究計画に関しては、Si(Li)検出器の実機の量産製作、GEANTシミュレーションコード開発、冷却システムの実用的試験などを計画通りに2019年度内に実施完了するという成果を挙げている。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度までの研究成果を踏まえ、GAPS実験実施に向けた研究開発を引き続き推進する。観測実現に向けて、GAPS測定器各構成要素の詳細設計や最適化、ならびに、実機の開発製作を進めたい。
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Research Products
(23 results)
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[Presentation] 宇宙線反粒子探索GAPS実験計画の(特に日本チームの)現状報告2020
Author(s)
福家英之, 小財正義, 小川博之, 岡崎峻, 西城大, 徳永翔, 吉田哲也, 中上裕輔, 竹内崇人, 和田拓也, 吉田篤正, 清水雄輝, 山田昇, 小池貴久, 加藤千尋, 宗像一起, 永井大樹, 五味颯雅, 河内明子, 小林聖平, 近藤愛実, 水野広基, 長島弘明, 高橋俊, 竹村薫, 田邉拓哉, 井上剛良, 他
Organizer
宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所宇宙科学シンポジウム (第20回)
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[Presentation] 宇宙線反粒子探索GAPS実験の現状報告‐日本チームの進捗を中心として‐2020
Author(s)
小財正義, 福家英之, 岡崎峻, 小川博之, 西城大, 徳永翔, 吉田哲也, 竹内崇人, 中上裕輔, 吉田篤正, 和田拓也, 清水雄輝, 山田昇, 小池貴久, 加藤千尋, 宗像一起, 永井大樹, 河内明子, 小林聖平, 五味颯雅, 近藤愛実, 高橋俊, 竹村薫, 田邉拓哉, 長島弘明, 水野広基, 井上剛良, 他
Organizer
日本物理学会 第75回年次大会
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[Presentation] Large-area Si(Li) Detectors for X-ray Spectrometry and Particle Tracking for the GAPS Experiment2019
Author(s)
Field Rogers, Mengjiao Xiao, Kerstin Perez, Steven Boggs, Tyler Erjavec, Lorenzo Fabris, Hideyuki Fuke, Charles J. Hailey, Masayoshi Kozai, Alex Lowell, Norman Madden, Massimo Manghisoni, Steve McBride, Valerio Re, Elisa Riceputi, Nathan Saffold, Yuki Shimizu, and Gianluigi Zampa
Organizer
2019 IEEE Nuclear Science Symposium and Medical Imaging Conference (NSS/MIC)
Int'l Joint Research
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[Presentation] GAPS: Searching for Dark Matter using Antinuclei in Cosmic Rays2019
Author(s)
R.Bird, T.Aramaki, R.Bird, M.Boezio, S.E.Boggs, V.Bonvicini, D.Campana, W.W.Craig, E.Everson, L.Fabris, H.Fuke, F.Gahbauer, I.Garcia, C.Gerrity, C.J.Hailey, et al.
Organizer
36th Intl. Cosmic Ray Conf. (ICRC2019)
Int'l Joint Research
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[Presentation] Recent Progress on the GAPS Time of Flight System2019
Author(s)
S.Quinn, T.Aramaki, R.Bird, M.Boezio, S.E.Boggs, V.Bonvicini, D.Campana, W.W.Craig, E.Everson, L.Fabris, H.Fuke, F.Gahbauer, I.Garcia, C.Gerrity, C.J.Hailey, et al.
Organizer
36th Intl. Cosmic Ray Conf. (ICRC2019)
Int'l Joint Research
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[Presentation] 宇宙線反粒子探索GAPS実験計画の(特に日本チームの)現状報告2019
Author(s)
福家英之, 小財正義, 小川博之, 岡崎峻, 西城大, 徳永翔, 吉田哲也, 中上裕輔, 竹内崇人, 和田拓也, 吉田篤正, 清水雄輝, 山田昇, 小池貴久, 加藤千尋, 宗像一起, 永井大樹, 五味颯雅, 河内明子, 小林聖平, 近藤愛実, 水野広基, 長島弘明, 高橋俊, 竹村薫, 田邉拓哉, 井上剛良, 他
Organizer
宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所大気球シンポジウム (2019年度)
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[Presentation] 宇宙線反粒子探索GAPS計画に向けたラジエータ飛翔試験(2019年度-1)2019
Author(s)
小財正義, 岡崎峻, 福家英之, 吉田哲也, 西城大, 河内明子, 近藤愛実, 竹内崇人, Evan Martinez, Nathan Saffold, Florian Gahbauer, Charles Hailey, William Craig, Jerome Olson
Organizer
宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所大気球シンポジウム (2019年度)
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[Presentation] 宇宙線反粒子探索GAPS計画に向けたラジエータ飛翔試験(2019年度-2)2019
Author(s)
岡崎峻, 小財正義, 福家英之, 吉田哲也, 西城大, 河内明子, 近藤愛実, 竹内崇人, William Craig, Jerome Olson, Evan Martinez, Nathan Saffold, Florian Gahbauer, Charles Hailey
Organizer
宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所大気球シンポジウム (2019年度)
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