2018 Fiscal Year Annual Research Report
Local structure and structural evolution of battery materials
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17H01137
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
守友 浩 筑波大学, 数理物質系, 教授 (00283466)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | エネルギー物質 / 局所構造 / 放射光X線 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.Na濃度の異なる層状コバルト酸化物(NaxCoO2)を化学的に合成し、その電子状態の変化を明らかにした。電子状態は、X線吸収分光(CoL端とOK端)と第一原理計算の比較で調べた。Naの脱離に伴い、(a)コバルトの価数が高まるだけでなく、(b)酸素ホールが形成される、ことが明らかとなった。この知見は、電池材料の蓄電プロセスの理解に貢献する。原著論文で報告。 2.コバルトプルシャンブルー類似体をマンガンプルシャンブルー類似体に置換した「三次電池」を作製し、その性能を評価した。286Kと313Kの温度サイクルで、熱効率2.3%を得た。この値は、カルノー効率の27%に匹敵する。原著論文で報告。 3.「三次電池」を実現するには、電位の温度係数(α)の大きな材料を創出しなければならない。熱力学的には、αは還元体と酸化体のエントロピーの差を素電荷で除したものに等しい。プルシャンブルー類似体のαを系統的に決定した。その結果、この物質系のαの支配要因は3d電位の配置エントロピーであると分かった。原著論文で報告。 4.LiとNaのα電解液を変えて、系統的に決定した。αの固体成分は金属のエントロピーに等しいと仮定して、αの電解液成分を決定した。原著論文で報告。 5.典型的な電池材料であるLiFePO4のαをLi濃度の関数として、系統的に決定した。第一原理計算で、LiFePO4とFePO4のエントロピーを評価した。αの電解液成分を考慮して、実験結果と計算結果が定量的に一致することを示した。原著論文で報告。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた、(a)層状コバルト酸化物の電子状態の研究、が順調に進展した。すでに、原著論文で報告している。さらに、予定にない電位の温度係数の研究が大いに進展した。これらの結果は、3報の原著論文で報告している。また、「三次電池」の熱効率も1%から2.3%に上昇した。
他方、計画通りに進まない部分も明らかになった。 層状酸化物に対して、価数選択性のある高分解X線吸収分光の実験を行ったが、遷移金属の2価状態と3価状態を分離することができなかた。プルシャンブルー類似体でも実験を行ったが、X線ダメージが大きくスペクトルが得られなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
価数選択性のある高分解X線吸収分光では、遷移金属の2価状態と3価状態を分離することができないことが分かった。今後は、X線回折用の電池セルを作成し、オペランド測定を目指す。
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