2017 Fiscal Year Annual Research Report
ドップラー振動撮像装置を用いた木星表面振動観測:内部構造と起源の解明に向けて
Project/Area Number |
17H01153
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
生駒 大洋 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (80397025)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関井 隆 国立天文台, 太陽観測科学プロジェクト, 准教授 (20332158)
佐藤 文衛 東京工業大学, 理学院, 准教授 (40397823)
花山 秀和 国立天文台, 水沢VLBI観測所, 特任研究員 (70794949)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 木星 / 内部構造 / 惑星大気 / 木震学 |
Outline of Annual Research Achievements |
木星の内部や大気には不明な点が多く、それらが木星の形成過程、さらには太陽系全体の形成過程に対する我々の理解を妨げている。研究代表者らのこれまでの理論的研究によれば、木星形成過程の解明の鍵を握るのは木星中心にある高密度部分(コア)の大きさやコア/エンベロープ境界付近などの深部の情報である。そこで、木星内部探査法として全く新しい内部伝播波(木震波)を用いた方法によって、その深部構造を明らかにすることを目標とする。 2017年度は、フランス・コートダジュール天文台およびアメリカ・ニューメキシコ州立大学の研究者との国際共同によって、国立天文台ハワイ観測所岡山分室(岡山観測所)188cm望遠鏡に設置するドップラー振動撮像装置の開発に成功した。また、それらをフランス・コートダジュール天文台から岡山観測所に輸送し、188cm望遠鏡クーデ室に設置し光の経路の調整等を行なった。そして、木星に対して実際に試験観測を行い、十分な精度の観測データを取ることができた。一方、すでにフランス Calern 天文台とアメリカ Sunspot 天文台に設置したDSIによって木星表面振動観測に成功し、木星大気運動に制約を与えるデータを取得した。 木星形成理論の構築に関しては、成長中の原始木星まわりでの微惑星のN体計算を行い、微惑星の力学過程を理解し、エンベロープに取り込まれる微惑星(重元素)量を定量化することができた。また、エンベロープに溶け込んだ重元素がエンベロープの構造に与える影響を精査し、木星形成が従来の理論的見積もりよりも早まる可能性と小さなコアが存在する可能性を示唆する結果を得た。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
観測装置の開発を担当しているフランスチームが、岡山観測所188cm望遠鏡のクーデ 室に合わせた装置仕様の策定やインターフェー スの設計に当初の予定より多くの時間を要したため、最終設計の完了が予定より遅れた 。また、一部コンポーネントの納品が遅れたことも相まって、研究計画に遅れが生じた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、岡山観測所に設置したドップラー振動観測装置と、フランス Calern 天文台およびアメリカ Sunspot 天文台に設置した同種装置を用いて、2~3週間のネットワーク観測を木星に対して行う。当初は、2018年度は岡山観測所から観測を行い、2019年度は石垣天文台に装置を移動して観測を行う予定であったが、望遠鏡固有のインターフェースの開発が想定外に困難であったことが判明したため、石垣天文台に装置を移さずに、2019年度も引き続き岡山観測所でネットワーク観測を行うように予定を変更する。
|