2019 Fiscal Year Annual Research Report
Integrated analysis of crystallography and dynamics of hydrogen in deep mantle minerals by high-intensity neutron scattering and high-resolution transmission electron microscopy
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17H01172
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| Research Institution | Kyoto University |
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Principal Investigator |
奥地 拓生 京都大学, 複合原子力科学研究所, 教授 (40303599)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富岡 尚敬 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(高知コア研究所), 主任研究員 (30335418)
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| Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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| Keywords | 中性子散乱 / 透過電子顕微鏡 / マントル含水鉱物 / 水素配置解析 / 水素拡散ダイナミクス |
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| Outline of Annual Research Achievements |
地球の水素は、海洋を作る分子の水に加えて、地球内部の含水鉱物が含む水素イオンとしても存在する。含水鉱物の構造の大きなタイプとしては、一定量の水酸基があらかじめ存在することで初めて安定になるものと、陽イオンと水素イオンが不定比で交換できるものの二種類がある。前者の構造は地球内部の比較的浅い場所、後者の構造は比較的深い場所で安定な場合が多い。特に後者が含む水素の量は、全体では海洋水の水素を大きく超える可能性が高いと考えられ、その実態の解明は重要である。
本研究課題では、これらの含水鉱物が含む水素の結晶学的配置と濃度、化学結合状態、及び移動の様式を、中性子散乱と高分解能透過電顕の手法によって解析してきた。水素の特性の構造タイプ間での対比を経て、地球の含水鉱物が含む水素の存在量や移動速度を、構造の関数として系統的に理解してゆく。この課題の実現のために、実験室で含水鉱物の高温高圧合成を行い、それを中性子散乱によって解析してきた。このうち単結晶中性子回折の手法によって、リングウッダイト[γ-(Mg,2H)2SiO4]や高密度含水マグネシウムケイ酸塩Phase E[～Mg2SiD4O6]などの水素配置と、陽イオン交換反応式を決定した。特にPhase Eの水素配置を高い空間分解能で決定することで、水素の配向無秩序を捉えて、その構造が示す特異な安定性の起源を明らかにした。一方で中性子準弾性散乱の手法では、最初にブルーサイト[Mg(OH)2]の水素の解析を成功させて、その結果を以後の水素移動解析の基準点として設定した。その上で、上記のPhase Eに加えて、ワズレアイト[β-(Mg,Fe,2H)2SiO4]、非晶質シリケイトなどの水素移動解析を、それぞれに対して600K-680Kの温度に達するまで進展させた。得た結果の比較を経て、多様な構造内の水素の移動に関する系統的なモデルの作成を進めている。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高密度含水マグネシウムケイ酸塩Phase Eの、最小d値0.5Åに達する高分解能水素配置解析を完成させるなど、単結晶中性子回折の作業が順調に進んでいる。この手法によって水素の配置を決定した、地球マントルの高密度含水鉱物群に対して、さらに中性子準弾性散乱を用いた水素の移動の解析を進めている。得られた水素の跳躍距離と跳躍時間頻度の特性を、水素の配置の特性と対比させてモデル化する作業も進んでおり、その結果を構造タイプごとに類型化した上での、含水鉱物の全体を通した体系化も進めてゆきたい。
中性子準弾性散乱の試料として必要である、高品質で大量の結晶粉末を、超高圧高温で合成する作業も既に充分に進展している。Phase E、ワズレアイト、非晶質構造などの高温での計測も順調に行うことができている。以上のように、課題の目的の達成のために必要な研究が実施できていることから、進捗の状況をおおむね順調と判断した。
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| Strategy for Future Research Activity |
中性子準弾性散乱の計測を、各含水鉱物の脱水分解に至るまでの、さらに高温の条件で行ってゆきたい。準弾性の計測のためには、バックグラウンド散乱の発生が特に少ない材料で製作した試料セルを使う必要がある。現在の条件よりもさらに高温かつ高水蒸気封圧での準弾性の計測を行う際には、これまで使ってきた試料セルが安定に使えなくなる可能性が高い。そのために、試料セルの材料や設計をさらに改良する研究を並行して進める。この改良の成果を、高温条件での単結晶中性子回折の計測の実現に対しても活かしてゆく。
含水鉱物の全体を通した水素の特性の体系化に向けて、今後さらに理解を進めたいと考えている課題を具体的に述べる。Phase Eの水素配置はブルーサイトと大枠で良く似ていることがわかったが、前者では層間に強い水素結合の形成が起きており、その結果として水素の配向が無秩序化していた。このような、大枠では同じタイプの結晶構造内において、水素の配置のサブタイプが分かれる場合に、その違いがどのように水素移動の速度や様式に反映されるのかを理解してゆきたい。上記したような、脱水分解に至る高温条件での実験により、これらのサブタイプが部分的な脱水を経験した場合には、どのように水素移動の様式が変化するのかも詳しく調べてゆきたい。
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Research Products
(43 results)
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[Journal Article] Widespread tissintite in strongly shock-lithified lunar regolith breccias2021
Author(s)
Zhang, A., Jiang, Q., Tomioka, N., Guo Y., Chen, J., Li, Y., Sakamoto, N., and Yurimoto
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Journal Title
Geophysical Research Letters
Volume: 48
Pages: e2020GL091554
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Systematic investigations of high-pressure polymorphs in shocked ordinary chondrites2021
Author(s)
Miyahara, M., Yamaguchi, A., Saitoh, M., Fukimoto, K., Sakai, T., Ohfuji, H., Tomioka, N., Kodama, Y., and Ohtani, E.
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Journal Title
Meteoritics & Planetary Science
Volume: 55
Pages: 2619-2651
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] New shock microstructures in titanite (CaTiSiO5) from the peak ring of the Chicxulub impact structure, Mexico2019
Author(s)
Timms, N. E., Pearce, M. A, Erickson, T. M., Cavosie, A., Rae, A., Wheeler, N., Wittmann, A., Ferrière, L., Poelchau, M., Tomioka, N., Collins, G. S., Gulick, S. P. S., Rasmussen, C., Morgan, J. V., and the IODP-ICDP Expedition 364 Scientists (2019)
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Journal Title
Contributions to Mineralogy and Petrology
Volume: 174
Pages: 38
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Presentation] Shock compression measurements of synthetic wadsleyite and ringwoodite single crystals2020
Author(s)
Purevjav, N., T. Okuchi, N, Ozaki, T. Sano, Y, Umeda, S. Morioka, N. Kammura, H. Nagayasu
Organizer
第60回高圧討論会
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[Presentation] Water Concentration in Single-Crystal (Al,Fe)-bearing Bridgmanite and its Possible Implications for the Dehydration Melting below 660 km Depth2019
Author(s)
Lin, J. F., S. Fu, J. Yang, S. Karato, A. Vasiliev, M. Y. Presniakov, A. G. Gavrilliuk, A. G. Ivanova, E. Hauri, T. Okuchi, N. Purevjav
Organizer
American Geophysical Union Fall Meeting 2019
Int'l Joint Research
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