2018 Fiscal Year Annual Research Report
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17H01175
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉田 精司 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (80313203)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 弥生 東京大学, 地震研究所, 助教 (90282730)
笠原 慧 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (00550500)
吉岡 和夫 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 講師 (70637131)
黒澤 耕介 千葉工業大学, 惑星探査研究センター, 上席研究員 (80616433)
黒川 宏之 東京工業大学, 地球生命研究所, 研究員 (80713643)
永田 晴紀 北海道大学, 工学研究院, 教授 (40281787)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 惑星探査 / 惑星起源・進化 / 惑星大気 / 同位体 / 希ガス / 質量分析装置 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、小型質量分析器の設計を実施した。まず、幾つかの分析オプティクスの方式を比較検討し、地上の分析装置に近年盛んに用いられるようになった「オービトラップ」と呼ばれる超高質量分解能(m/dm>10,000)の計測原理を採用することを決定した。さらに数値シミュレーションを用いて、基本設計を完了させた。地上の実験室で使用される質量分析器全体は、探査機に搭載するにはリソースが過大であるため、主要な質量分析オプティクス部のみを踏襲し、その前段となるイオン化部・イオン蓄積部については大幅な省リソース化を図るため、新たなオプティクスの設計を実施した。装置内電場と粒子軌道の数値シミュレーションを通じて詳細設計を施し、テストモデル製作の準備を完了した。 Ne, Arなど希ガスの同位体測定を行うためには、妨害となる活性ガスを化学吸着(ゲッター材への吸着)により除去する必要があり、昨年度に引き続き小型・小電力ゲッターの選定・性能評価・固定方法の検討を進めた。NASAの火星探査機搭載装置でも使用されたSAES社製のST175(焼結チタン・モリブデンベース)では、7Aで数10分以上電流を流して脱ガスを行った後は、常時電流を流すことなく希釈大気の精製が行え、真空下で1年程度の期間では大きな経年劣化はなかった。他のゲッター材(焼結ジルコニウムベース等)の検討・試験も進めているが、より優れた化学吸着特性を示すものは見つかっていない。探査機搭載の実用化に向けて、模擬火星大気の準備、性能評価試験用分析装置の低バックグランド化や岩石試料分析に対応するための改良などを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に述べたように、本研究課題を構成する3つのユニットである、小型質量分析器、ゲッター(妨害ガスの吸着除去器)、Ne/Ar分離膜のいずれにおいても開発が順調に進展している。特に、一番重要であった質量分析器についてオービトラップ型の採用を決定して基本的な設計を完了できたことは大きな進捗である。 さらに、本装置の重要部品である宇宙機用の小型真空ポンプの選定および入手ができた点も大きな進展であった。全体設計に対する大きな不確定性要素であった真空ポンプの排気能力と必要リソース(電力、重量、寸法)が決められたため、真空槽の寸法や質量分析器の機能圧力条件、探査機側への要求条件などが、イモヅル式に決められるのである。また、経費としてはほとんどかかっていないが、打上げ機会を創出するための努力も進んでおり、超小型惑星探査機の火星、月、彗星などへの提案の機会も得られた。以上の状況を踏まえて、本研究の進展状況は概ね順調であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
小型質量分析器、ゲッター(妨害ガスの吸着除去器)、Ne/Ar分離膜のそれぞれのユニットの開発をさらに進展させ、実際のハードウエア製作および論文化を目指す。 特に、小型質量分析器については、図面設計の後にテストモデルを製作して実験室での性能検証試験を実施する。本装置の設計は組み立て公差に対して非常にシビアになっているため、必要な精度を保証する組み上げプロセスを考慮しながら図面を作成することが重要である。また、イオン光学の一部には100Vを超える高電圧も使用するため,放電のリスクを回避することも念頭に置いて開発を住める必要がある。
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[Journal Article] The ERG Science Center2018
Author(s)
Y. Miyoshi, T. Hori, M. Shoji, M. Teramoto, T. F. Chang, T. Segawa、N. Umemura, S. Matsuda S., S. Kurita, K. Keika, Y. Miyashita, K. Seki, Y. Tanaka, N. Nishitani, S. Kasahara , S. Yokota, A. Matsuoka, Y. Kasahara, K. Asamura, T. Takashima, and I. Shinohara
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Journal Title
Earth, Planets and Space
Volume: 70
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Presentation] Comparison of visible spectra between Ryugu and low-albedo asteroid families in the inner main belt2018
Author(s)
S. Sugita, E. Tatsumi, S. Hasegawa, S. Yudai, H. Kamiyoshihara, R. Honda, S. Kameda, T. Morota, C. Honda, T. Kouyama, M. Yamada, M. Hayakawa, Y. Yasuhiro, N. Sakatani, H. Suzuki, K. Ogawa, H. Sawada
Organizer
Japan Geosci. Union
Int'l Joint Research / Invited
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