2019 Fiscal Year Annual Research Report
Repeatable Mechanochromic Polymers Based on Dynamic Covalent Chemistry
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17H01205
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
大塚 英幸 東京工業大学, 物質理工学院, 教授 (00293051)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 高分子反応 / 動的共有結合化学 / メカノクロミズム / 高分子合成 / 高分子構造・物性 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、前年度までに進めてきたメカノクロモフォアライブラリーの構築と評価(ステージ1)において新たに開発したメカノクロモフォアを利用して、高分子化およびそのメカノクロミック特性評価を基礎的かつ学術的な視点を重視して検討した。具体的には、新たに開発に成功したジアリールビインドリノン(DABI)やジフルオレニルスクシノニトリル(DFSN)などの新規メカノクロモフォアを用いて、メカノクロミック高分子の合成と評価(ステージ2)を行った。前年度に引き続き、ポリスチレン、アクリル系ポリマー、セグメント化ポリウレタン、などを合成し、これらのメカノクロモフォアを架橋点に導入した架橋高分子の合成も行うことに成功した。 メカノクロミック高分子のマルチカラー化(ステージ3)に関しては、前年度に予算の前倒しを行い研究が加速したおかげで、前年度までにいくつかのメカノクロミックポリマーの開発に成功していたが、今年度は、別の設計指針に基づいて、これまでの知見をもとにマルチカラーメカノクロミックポリマーに関する研究を推進した。 一連の研究は、今年度も青木大輔氏(東京工業大学物質理工学院 助教)が研究協力者として参画したことで、特に高分子合成部分の支援を受けて、概ね順調に進行した。一部、当初計画どおりに研究が進まなかった点もあったが、適切にフィードバックやメカノクロモフォアの化学修飾などの臨機応変な対応を行うことで、問題を一つ一つ解決することができ、総合的には非常に良い研究成果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、力学的な刺激により高分子鎖中の特定の炭素-炭素共有結合が選択的かつ可逆的に切断する高分子反応を基盤として、発生する炭素ラジカルに由来した着色・発光挙動を示すメカノクロミックポリマーの開発とそれらの分子設計指針の確立を目的としてきた。今年度の計画はほとんどが計画通りに完了しており、これまでに空気中でも比較的高い安定性を有する特殊な炭素ラジカル種を生成し、平衡条件に供することで炭素ラジカルが再結合して元の分子骨格に戻る多様な反応性高分子群を創製することに成功している。関係する多くの論文発表や学会発表も行っていることから、おおむね順調に研究が進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた研究成果と次年度に行う研究を総合的に解析することで、鍵となる平衡系を有する分子骨格における電子状態と力学的刺激による高分子反応との相関関係を解明する予定である。これまで系統的な研究が行われてこなかった高分子メカノケミストリーの学術基盤の構築を目指して、最終年度となる来年度の研究を精力的に推進する。
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Research Products
(26 results)