2018 Fiscal Year Annual Research Report
Developments of Analytical Chemistry Based on Dimension Control of Micro- and Nano-space by Freezing
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17H01209
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
岡田 哲男 東京工業大学, 理学院, 教授 (20183030)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
火原 彰秀 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (30312995)
原田 誠 東京工業大学, 理学院, 助教 (60313326)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 氷 / 氷/液相界面 / 粒子 / 凍結合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
凍結により生じる液相空間を理解し、制御することにより凍結現象を新たな機能開拓に利用すると共に、現象の本質を理解することを目的としている。今年度は、一部前年度の研究を継続しつつ、新たな項目を加えて以下の検討を行った。(1)凍結による液相空間のマイクロ/ナノメーター次元制御と粒子分離、(2)水溶液凍結系の理論的描像、(3)氷表面の荷電機構とゼータ電位、(4)凍結有機合成。 (1)では、前年度調製法を確立した氷隔壁中のナノ~マイクロチャンネルを利用して粒子のサイズ分離を行った。温度とドーパントとして加えるスクロース濃度によりチャンネルサイズを制御し、異なる大きさの粒子の隔壁通過を制御できることを示した。(2)では前年度に計算可能にしたExtended UNIQUACモデルに基づくプログラムを発展させ、リン酸緩衝溶液の凍結によるpH変化を、温度毎に追跡できるプログラムを開発した。その結果、ナトリウムイオン、カリウムイオンを含む種々のリン酸緩衝溶液における凍結pH変化の実測値を概ね再現できること、その過程でこれまで考えられていた塩の析出だけでなく、共晶点以下での過冷却が重要な役割を果たしていることなどを明らかにした。(3)では、氷中に作製したトンネル構造中でプローブ粒子を泳動させることにより、その粒子の移動速度から氷のゼータ電位を決定できることを示した。予め、実験条件下での粒子の電気泳動移動度、ゼータ電位を決定しておき、それを利用して電気浸透流から氷のゼータ電位を見積もる新規アプローチである。これにより、氷表面のpKaは3程度であり、バルクの水に比べて著しくプロトン解離が促進されていること、陰イオンのダングリングボンドへの吸着により負の静電ポテンシャルが増加すること等を静電モデルを用いて定量的に解析した。(4)では、不斉Mannich反応の凍結による制御の可能性を追究した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
空間制御の観点からは、温度とドーパント濃度により高い再現性で液相空間サイズを制御できることがわかってきた。また、氷と液相界面の物性、そこでの物質の分配などについても知見が着実に増えており、凍結系の特性とそれを制御している因子が明らかにないつつある。また、水以外の系にも凍結系を拡大することで凍結合成という新しい芽が出ている。これらを総合すると極めて順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
凍結を利用した空間制御がかなりの精度で可能になってきたので、これを物質分離や氷界面での物質特異的な相互作用の評価に展開する予定である。また、空間制御を利用した分光測定や分析法の高感度化などにも発展させることを考えている。凍結合成についても1年以内にその特性を解明できると考えている。
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Research Products
(13 results)