2019 Fiscal Year Annual Research Report
Developments of Analytical Chemistry Based on Dimension Control of Micro- and Nano-space by Freezing
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17H01209
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
岡田 哲男 東京工業大学, 理学院, 教授 (20183030)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
火原 彰秀 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (30312995)
原田 誠 東京工業大学, 理学院, 助教 (60313326)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 氷 / 氷/液相界面 / 蛍光スペクトル / 凍結合成 / ラマンスペクトル |
Outline of Annual Research Achievements |
凍結により生じる液相空間を理解し、制御することにより凍結現象を新たな機能開拓に利用すると共に、現象の本質を理解することを目的としている。今年度は以下の検討を行った。(1)凍結有機合成、(2)凍結空間での蛍光プローブ挙動の解明、(3)凍結によるラマン分光の高感度化。 (1)では、凍結有機溶媒中での不斉Mannich反応の選択性を広範な条件下で評価した。有機溶媒としてDMSOとt-ブタノールを用い、種々の基質についてプロリン触媒による反応を検討した。収率の温度依存性は凍結前と凍結後でそれぞれ極大を持つことがわかった。凍結濃縮と副反応の抑制によると考えられる。また、Eyringプロットは、未凍結と凍結後の二つの温度帯でそれぞれ正、負、ほぼゼロの傾きを持つことがわかった。すべての基質、溶媒で程度の差はあるが同様の傾向を示した。これは凍結溶媒の界面に中間体のエナミンが相互作用することによると考えられる。凍結により反応が必ずしも抑制されず、機構そのものが変化する興味深い例である。(2)ではテトラフェニルエチレン(TPE)誘導体の凍結空間での蛍光スペクトルと寿命の共同を解析した。その結果、空間サイズによりTPEの凝集体構造が異なること、0.5~2マイクロメーターの空間では構造変化せず単に濃縮され、2マイクロメーター以上、0.5 マイクロメーター以下の空間では空間サイズの変化と共に凝集体構造も変化することが明らかとなった。(3)では、凍結により銀ナノ粒子と測定対象を濃縮し表面増強ラマン散乱が起こることを確認した。グリセロールを凍結保護材として共存させることが効果的であることを見出した。これにより、凍結濃縮による高感度化と、空間制御による表面増強ラマンの両方が起こることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
凍結蛍光寿命を測定できる研究環境を整備し、測地が可能になった。これまでの結果から、凍結により種々の蛍光プローブが予想とは異なる興味深い挙動を見せることがわかってきた。また、凍結によるラマン分光の高感度化においても期待通りの結果を得つつある。これらはいずれも大きな発展性を秘めており、次年度の研究に飛躍的な展開が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
蛍光分光、寿命測定では、シアノフェノールが興味深い挙動を見せることを見出しており、これを追究する予定である。また、2波長蛍光分光により凍結による局所pH変化を変化を捉えられる可能性を見出しているので、これも今年度検討する予定である。また、凍結ラマン分光、凍結蛍光X線による鉄酸化物の凍結溶解なども今年度の検討課題としたい。
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Research Products
(15 results)